myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第19回

腐女子御用達作品のニコ動＆pixivデータを探ってみた

MMDがいつの間にか女性ユーザー活躍の場に!?

MMDは主要タグ中、女性投稿者の増加率が最も高い
その理由は女性向け作品のMMDモデル化が進んだため

　前回紹介時からの変化として興味深いのが投稿者の女性率の増加です。2012年末時点でもMikuMikuDanceタグ投稿者の女性率は24.75％と高い部類でしたが、2013年末の今回のデータでは30.75％となんと6ポイントも増加。この増加はすべてのカテゴリタグを含む調査中の主要なタグでもっとも大きいです（次点が「踊ってみた」の2ポイント増加。性別を公開している2割程度のユーザーについての数字である点注意）。

　「MikuMikuDance」タグ動画の初投稿年別に女性率をみてみると、急激に新規の女性投稿者が増えている傾向が分かります。2008年頃はニコ動全体でも男性の多いタグでしたが、だんだん女性率を増やして2012年頃から逆転、2013年は4割の新規投稿者が女性で、近年は全体の中でも女性投稿者の多い部類のタグになっています。

2013年12月時点で視聴可能な「MikuMikuDance」タグの動画を投稿していたユーザーについて、同タグ動画の初投稿年ごとに、性別の比率を示したもの。対象はいずれかの性別を公開している投稿者のみ。ちなみにニコ動全体では2013年の女性新規投稿者率は3割程度

　この要因となっているのは「Axis Powers ヘタリア」や「進撃の巨人」などの女性人気（いわゆる腐女子的なもの）の高い作品のMMD動画の投稿が年々活発となっていることです。

　MMD発表時はまだ初音ミクのモデルしかありませんでしたが、やがてユーザーモデルにも対応、2009年頃から多様な作品のMMDモデルが登場するようになってきています。この頃すでに「戦国BASARA」や「ヘタリア」のMMD動画が登場。その後「エルシャダイ」「TIGER&BUNNY」「銀魂」そして昨年の「ジョジョの奇妙な冒険」「進撃の巨人」などのブームに牽引され、近年のMMD動画では女性人気の高い作品の動画が目立つようになってきています。

2014年2月時点で視聴できる「MikuMikuDance」タグの動画について、各年の前後半ごとに多かった作品関連のタグを順に並べたもの。女性人気の高い作品は赤、それ以外は青に塗っている。各作品で各時期もっとも多かったタグの投稿数を使用。VOCALOIDや派生は一作品とみなしてまとめ。オリジナルキャラクターは独立した作品としてカウント

　最後に各作品についてMMD動画とpixivの最近の投稿数上位と比較してみましょう（グラフ4・グラフ5）。pixivは比較的ネット上での二次創作人気の高さを反映していると思われますが、これに対してニコ動のMMD動画では、モデルの存在や映像映え、コミュニティの性格などの関係もあってか、単純に二次創作人気の高い作品の動画が投稿されているわけではないようです。

集計方法はグラフ3と同様。上位についてはグラフ3の一番右の列と同じ。女性寄りの作品は赤。pixivと比較すると「ヘタリア」「ジョジョ」「BASARA」の人気が目立つ。全体で人気の高い「黒子のバスケ」も「MMD黒バス」がかろうじてありますが、あまり動画は多くありません。「進撃の巨人」はどちらでも人気

2月4日時点でおもな作品名タグの過去1ヵ月の投稿数を確認して多い順に並べたもの。同一作品のタグはもっとも多いもののみを表示。いつの間にか艦これが東方を抜いていました。1月スタートのアニメでは「鬼灯の冷徹」が比較的人気。カゲプロも5000超が投稿されています

　ちょうど明日（2月14日）から第12回MMD杯の本選が開始されます。すでに予選ではボカロ・東方・艦これ・進撃とさまざまな動画がノミネート中。今回はどんな名作が誕生するのでしょうか。楽しみです。

昨年10月に公式踊ってみたと同時に投稿されたGRANiDELiAのオリジナル曲「Lamb.」のMMDモーショントレース動画。昨年末に投稿され、現在MMD界隈でヒットしており、「Girls」のヒットをなぞっている印象。使用モデルは「戦国BASARA」の真田幸村。東方や進撃の巨人でのこの曲の動画も人気が高い。