音はもちろんだが、見栄えも現代的な逸品
名門ELACの超小型スピーカー「BS312」を聴く
2014年02月15日 12時00分更新
デスクサイドからリビングまで、応用範囲が広い
さて実際の音はどうだろう。本稿ではAVライターの鳥居一豊氏の協力を受け、本格的なAV視聴ルームでその音質を確かめることができた。上流につなぐ機材は、プレーヤーとしてLINNの「MAJIK DS」、これをAVアンプのVSA-LX83とデジタル接続した。
スティングのハイレゾ版音源、アニメタイアップ曲を含む、女性ボーカルのポップスなどを聴いた。感じるのは太く張りのあるボーカル。そして部屋の中に広がる空気感など。机の上でも使えるコンパクトなサイズの本体だが、目を閉じて音だけを聴いたならそんな想像すらしないだろう。十分にドライブできるアンプを用意すれば、ちょっとした大型スピーカーなど退けるぐらいのスケールの大きなサウンドだ。
とはいえビジュアル面でも美しい。専用スタンドもスパイクで設置面を最小限にする構造でメカ的な雰囲気を演出。最先端のスピーカーで鳴らす、最先端のサウンドという視覚・聴覚両面からの欲求を満たす点に参る。
JET Vは上述のように音質面でのBS312の肝。外観上はハイルドライバーの開口部が4つから5つに増えている点で違いがわかる。中高域の効率が上がり、より繊細な表現が可能になる一方で、低域にしわ寄せが出てスピーカー全体のバランスが崩れるてしまうという懸念もあるが、10cmウーファーは低域のレンジ感、パワー感、そして見通し感のいずれでも高水準である。折目が増え、より細かになるなど、外観上からもその進化の後がうかがえる。
一緒に試聴した鳥居氏も「(スケール感はもちろんだが)音量を上げてエネルギッシュに振動させても、刺激的な音にならない」という点を指摘。また、JET Vの解像感の高さについても高評価。「ヘッドフォン並みの情報量を備えつつ、前後左右へと音が広がる音場感、自然な定位などスピーカーならではの特徴も兼ね備える」とコメントした。
情報量の高い音源であれば、そのニュアンスを余すことなく伝える性能を持つ。メカらしい外観の魅力、そしてELACならではの位相特性をはじめとした現代的なスピーカーに求められる性能を盛り込んだ基本性能の高さの魅力など、Hi-Fi機器としてとても素性の高さを感じるELACの300LINEがさらに進化した点を実感できた。
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