「安心・信頼・高品質」に本気なNTTスマートコネクト 第1回
IX直結!都市型ならではのロケーションも売り
ミスト冷却が新しい!NTTスマートコネクトの大阪DCへ潜入
2014年02月19日 14時00分更新
ミスト冷却を併用することでより大きな省エネへ
さて、こんな同社が現在チャレンジしているのが、冒頭に説明したミスト併用直接外気空冷システムの実証実験。ミスト併用直接外気空冷システムは、外気空冷によって空調機の動作時間を短くしつつ、取り込んだ外気をミストで冷却し、さらなる省エネを目指す取り組み。最適な温度・湿度を実現すべく、外気空冷とミスト冷却のほか、外気とIT機器の排熱の混気運転、そして通常のデータセンターと同じく空調機を動作させるモードの4種類を自動で制御している。
こうした取り組みを進めた背景には、やはり省エネニーズの高まりがあるという。「弊社のデータセンターは都市型というのが特徴。寒い地域で外気空冷を導入するのではなく、都市型の強みを生かした外気空冷を追求したいと考えました」(原氏)。大阪の夏は高温多湿で、35℃を超える日も多い。こうした環境でも、可能な限り空調機を回さず、効率的に温度管理できるように注力していくのが今回の実験の目的だという。関西でも電気代が上がっているので、データセンター事業者側としても、省エネ技術の導入は欠かせないとのことだ。
確かに「熱いモノを水で冷やす」という発想は実に直感的だが、なぜミストを使うのか? 原氏は「やはりショッピングセンターなどでのミスト冷却から着想を得ています。30度を超える夏場の暑いときに気化熱を冷やしたり、冬場に湿度が足りないときに利用します」と語る。また、都市では大きな課題となる粉じんを除去する効果も期待できるという。フィルターのメンテナンスは外気空冷の課題なので、効果が上がれば、都市型としての大きなメリットとなるだろう。
写真で見る「ミスト併用直接外気空冷システム」の実証実験
大阪データセンターの一部を改造して作られた実験室を見てみよう。実験室ではサーバーラックの列が対で並べられており、内側の吸気側はアイルキャッピングが施されている。キャッピングされた区画では、床下から冷気が取り込まれており、前面からIT機器を冷却する。一方、ラックの外側に排熱された空気は、壁に設置された巨大なファンで取り込まれた外気で冷却される。スモールスタートを意識しており、既存のデータセンターのリノベーションも想定しているという。
肝心のミスト冷却は、外気が取り込まれる区画で行なわれている。ミストの除熱効果により冷却された外気は、フィルターを通して混気室に取り込まれる。そこからファンを介して、サーバールームに送られ、コールドアイルに取り込まれることになる。こうした構造のため、当然ながら、ミストがIT機器にかかる心配はなく、直接冷やすのはあくまで外から取り込んだ外気、そして空調機だけだ。
実証実験は2013年の10月から開始され、1年間の実験を通して、商用導入を実現する予定だ。外気空冷で約37%の電力削減、ミストによる冷却でさらに8%の電力削減を目指すという。原氏は「冬は外気空冷と混気運転、夏はミスト冷却を併用し、どれだけ空調機を使わない時間を多くできるかが実験の鍵になります」と語る。
最新のデータセンター実験にチャレンジ精神を見た
「NTT」という社名の冠は、絶対的な「信頼感」を感じさせるブランドである一方、「保守的」というイメージがついて回るのも事実だ。しかし、今回の見学で、この「保守的」というイメージは一気に覆された。外気やミストによる冷却を取り入れた最新実験設備に、NTTスマートコネクトのチャレンジ精神がかいま見えたのだ。今後、こうした実験の成果がどのように本サービスに活かされていくのか、見守っていきたいところだ。
次回は、基幹システムのクラウド移行に最適な「スマートコネクトVPS」を取り上げる。
(提供:NTTスマートコネクト)
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