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Apple Geeks 第139回

セルフパブリッシングにiBookstoreではなくKDPを選んだ理由

2014年02月04日 11時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu

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「iBookstore」は審査期間が長い

 最初の出版ルートにiBookstoreを選ばなかった最大の理由は、「審査」があることだ。販売経験のある知人から聞いた話によれば、審査には2〜3週間程度は必要で、しかも内容に問題があれば差し戻し(リジェクト)が発生するとのこと。つまり、電子書籍の完成から1ヵ月は余裕をみておかねばならない。ここ数年、Appleは毎年秋にOS Xをアップデートしているので、Mavericksの賞味期限は残すところ半年強、うち1ヵ月を逸すれば商機が約16%損なわれる計算だ。これは痛い。

Mac/iOSデバイスユーザーとの親和性が高い「iBookstore」。ただし審査に1ヵ月を要するという

 一方のKDPは、「レビュー」と称するチェックはあるものの、英語のタイトルで12時間、英語以外のタイトルで48時間以内に販売開始できる旨を標榜している。「レビュー」の具体的な内容は公表されていないが、どうやら電子書籍としての体裁チェックが主目的らしい。

 筆者の場合、KDPに電子書籍「OS X Mavericks対応 defaultsコマンド活用術 !」のデータ(mobiファイル)を送信したのが1月29日午後12時29分、それから約1時間後の13時31分に管理ページをチェックしたところ、ステータスが「オンライン - 変更事項の出版準備中」に変わっており、Amazon.co.jpでの販売も開始されていた。審査期間は短いほうがよく(著者としてはないほうがいい)、この点ではKDPの圧勝だ。

KDPにmobiファイルを送信した直後の画面。ここから1時間後には販売が開始された

読者層にムラがなく距離が近い

 本を出すからには売れてほしいが、今回は“数字をつかむ”という目的もある。iBookstoreの場合、ビューアはiOSデバイスかMacに限定されるため、専用端末(Kindle)やPC、スマートフォン/タブレットと対応機種が幅広いKDPに比べると不利だ。Macのコアユーザーにターゲットした筆者の本の場合、iBookstoreのほうが有利な面もあるだろうが、それでは他のジャンルの本と比べた売れ行きを測ることが難しくなる。Mac以外のカテゴリーでも電子書籍を出したい筆者としては、購買層に偏りのないKDPのほうが検証の場としては妥当に思える。

 現在のところ筆者は未登録だが、Amazonでは出版社/著者のページとして「Amazon著者セントラル」なるプロモーションサイトを持つことができる。正誤情報の掲載など著書のメンテナンスに活用することは難しそうだが、最新のツイートを自動表示するTwitter連携機能を使えば、なんらかのフォローはできそうだ。ただ販売リストが掲載されるだけのiBookstoreに比べると、読者の利便性という意味でも好印象だ。

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