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2013年CPUクーラー最強王座決定戦 第2回

大御所ガチンコ対決 2013年CPUクーラー王座決定戦【第2回】

2014年02月05日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

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立体多重エアフロー透過構造採用のヒートシンク
サイズ「MUGEN4」

 サイズ製で最後に紹介するCPUクーラーは「MUGEN4」。ヒートシンク部の奥行きだけでも88mmもある大型サイドフロー式クーラーだ。先代の「MUGEN∞3リビジョンB」は本企画の2011年度版の記事で紹介している。

●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:130(W)×113(D)×160(H)/約625g
●ファン回転数:400~1400rpm±10%(PWM制御)
●風量:20.7~79CFM
●ノイズ:5.3~28dBA
●実売価格:4000円前後
●製品情報URL:http://www.scythe.co.jp/cooler/mugen4.html

 遠目で見ると4分割されたようなヒートシンクに6本のヒートパイプで構成された基本デザインは先代の製品と共通。先に紹介した虎徹などで採用されている「M.A.P.S」をさらに改良した「T-M.A.P.S(TはThree-DimensionalのT)」を採用することで空気のヌケを改善させている。

 そのうえ固定方法も先代の組み込みにくい“裏からネジ留め”方式から、土台をマザー上に組み上げる方式に転換した。ただ本製品の場合、虎徹やASHURA SHADOW EDITONなどの“ブリッジリテンション”ではなく「H.P.M.S(Hyper Precision Mounting System)」という大仰な名称になっている。

 また、ファンはブレード表面にリブを設けた「隼120」を1基搭載。120mmファン搭載クーラーにしては、ファン回転数は400~1400rpmと低めに設定されている。特に最小回転数が400rpmというのは、今回エントリーした全13製品中最も低い。ASHURA SHADOW EDITONが“一度熱くなったらなかなか冷えない”クーラーであるのと同様の特性を備えているようだ。

 テストは4.6GHzをクリアしたが、やはりアイドル時(一度熱くなってから5分後の温度)の温度は、ASHURA SHADOW EDITON同様に47度と高い。しかし高負荷時はファンが1250rpmと遅めのわりには69度とASHURA SHADOW EDITONに次ぐ冷却性能を発揮している。

 さらに高負荷時のファンノイズも38.5dBAと、これまで紹介した製品中最低値をマーク。今回エントリーした全製品の中でもトップクラスの静音性を発揮している。

 かなり静音を意識した設計ではあるが、アイドル時の冷えが気に入らなければ回転数のもう少し高いファンに変更すれば済むだけの話。組み合わせるファンの特性次第ではもっと強力になることは間違いないだろう。

アイドル時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  47.0 ℃ 36.5 ℃ 35.5 ℃ 48.3 ℃ 33.4 dBA 490 rpm
純正より +5.0 ℃ -3.9 ℃ -4.2 ℃ +1.6 ℃ -0.6 dBA -1518 rpm
高負荷時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  69.0 ℃ 35.6 ℃ 40.2 ℃ 51.6 ℃ 38.5 dBA 1250 rpm
純正より -10.0 ℃ -7.8 ℃ -10.5 ℃ -1.1 ℃ -4.0 dBA -2417 rpm

10分間の温度推移

赤いデュアルファンが鮮やか
Thermaltake「NiC F4」

 続いてはThermaltake社製品の2013年度におけるニューモデルを3製品紹介しよう。同社は昨年よりCPUクーラーのブランドとして「NiC」を立ち上げたが、この「NiC F4」は下から2つめのモデルとなる。

●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:139(W)×93(D)×160(H)/約688g
●ファン回転数:800~1600rpm(PWM制御)
●風量:最大79.283CFM
●ノイズ:18~30.2dBA
●実売価格:5000円前後
●製品情報URL:http://jp.thermaltake.com/products-model.aspx?id=C_00002030

 2基の真っ赤な120mmファンがちょっと新鮮だが、ヒートシンク自体の設計はシンプルだ。ヒートパイプは4本、ヒートシンクの奥行きは50mmとシンプルな設計になっている。

 ヒートパイプがCPUに直接接触するデザインになっているが、ベース部分とヒートパイプの段差が感じられる。次に紹介する上位モデルでは直接接触ではなくメッキの施された銅プレートを介していることを考えると、ベース部分の処理を簡略化してコストダウンするための処理、と考えられる。

 ヒートシンクの構造は非常にシンプルだ。フィンの形状は過去に発売された「Contac 39」のような製品とも違い、完全新規起こしであることがわかる。フィン自体には穴や凹凸はほとんどないが、真上から見ると中央部が微妙に凹んでおり、これが気流のヌケをよくするための工夫となっているようだ。

付属のファンコントローラーを使い、回転数を800~1600rpmの間で手動調節することも可能だ

 デュアルファンで風量を稼いでいるせいか、OCCTによるオーバークロックテストは4.6GHzで通過した。2つのファンが1600rpm強で回るせいか、ファンノイズは結構目立っていたが高負荷時のCPU温度は71度が最高値。ファン数が多いだけあってシングルファン仕様のHyper 212XやVenomous X-RT Rev.SB-Eなどよりしっかり冷えている。メモリーやVRM温度もこれまで紹介した製品の中ではかなり低い点にも注目したい。

 コスト重視の設計であるため、ファンが赤いことを除けばPCパーツとしての“派手さ”はなく、むしろちょっと寂しいルックスの製品だ。しかし静音性は少々犠牲にしても予算をかけずに冷却性能を確保したいのなら、この製品は選択肢に入れてもいいだろう。

アイドル時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  32.0 ℃ 34.0 ℃ 29.9 ℃ 33.6 ℃ 36.5 dBA 1013 rpm
純正より -10.0 ℃ -6.4 ℃ -9.8 ℃ -13.1 ℃ +2.5 dBA -995 rpm
高負荷時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  71.0 ℃ 33.8 ℃ 35.5 ℃ 40.5 ℃ 43.0 dBA 1656 rpm
純正より -8.0 ℃ -9.6 ℃ -15.2 ℃ -12.2 ℃ +0.5 dBA -2011 rpm

10分間の温度推移

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