あのMS-20を組み立てられるキット
「MS-20 kit」はMS-20の半田なしでオーケーな組み立てキットです。去年だったらこの段階で血液が沸騰するか、逆立ちしてグランド半周くらいするところですが、もはやフツーに感じられる。これは恐ろしいことです。それくらい去年の展開が凄まじかったということでもあります(関連記事)。
しかし、MS-20 kitの驚くべきポイントは、オリジナルの86%縮小版であった「MS-20 mini」の組み立てキットではなく、オリジナルサイズのMS-20の組み立てキットである点です。つまり100%で1:1。しつこいですが実物大。キーボードもフルサイズなら、パッチケーブルのプラグも標準サイズです。
実は私、MS-20 miniは買う寸前まで行ったのですが、パネルの文字もminiサイズに縮小されているためローガンには視認性が悪く、パッチの接続切り替えも難儀するくらいで、ちょっとライブじゃ使えないよねえ、というのでパスした経緯があります。でもそんな老人だってオリジナルサイズならば!
また、マニアの間であーだこーだと議論の絶えないVCFの前期型/後期型を両方共実装して、基板上のジャンパーで切り替えられるようになっています。つまり、自分の好きなタイプのMS-20にできる。これのためにパネルその他パーツを用意したんですね。大人が本気出すと怖いですね。
価格は発表されていませんが、オリジナル(1978年発売当時9万8000円)より安いといいなー、と期待しております。発売は2月上旬予定。かなりの限定生産らしいので、欲しい方は早めに何とかしなければなりません。
70年台にMS-20を開発されたKORGの重鎮、本気出すと怖い三枝文夫さんと西島裕昭さんが楽しそうにMS-20 kitをUnboxingされています。
セミ・ウェイテッド鍵盤採用のUSB MIDIコントローラー
ここまで来るともはやフツーのキーボードに見えますが、DAWで使うのに便利なUSB MIDIコントローラー「taktile(タクタイル)」が出ました。49鍵と25鍵の2機種が用意されておりまして、コードの入力に使うベロシティー対応トリガーパッドは16個(25鍵モデルは8個)、スライダー、スイッチ、ノブは8ペア(25鍵モデルはスライダーとスイッチが8ペア)付いていております。
従来、打ち込み用のコントローラーと言いますと「データさえ入りゃいいんだろ」とばかりに貧相な鍵盤が多かったのですが、これはKingKORGやKROMEと同じ、ちゃんと反力のあるセミ・ウェイテッド鍵盤が使われているのがミソ。そして中央のタッチパッドは、なんとKaossilatorとして機能したり、USBマウスとしても使えてしまうという代物です。
で、このtaktileに、あのTRIRONの音源を積んだのが「TRITON taktile」。積まれているのは512音色で、一部エディットなどに制限があるらしく、TRITONの完全移植とは言えないようですが、コントローラーから音も出るなら、ライブなんかで便利なんじゃないでしょうか。
taktileは2月上旬、TRITON taktileは3月下旬発売予定。価格はオープンプライスということですが、一部からは恐ろしく安い価格が伝わってきており、これは実用的作曲ツールとして1台……と、心揺らいでおります。
楽しそうな実演。これは打ち込みや作曲だけでなくライブでも使いやすそうです。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター、武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。インターネットやデジタル・テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレ。
