NAMMショー目玉の筆頭はKORGのショルキ―「RK-100S」
実際のブツとして筆頭に挙げたいのは「RK-100S」です。これは「3」に該当する物件でしょう。
ストラップで肩から下げるスタイルのキーボードを「ショルダーキーボード」、すこし縮めて「ショルキー」と言ったりしますが、これは和製英語でありまして、英語圏では「Keytar(キーター)」と言います。ギターのようなキーボード、という意味ですね。もし我々日本語圏でもKeytarという呼称が一般的なら「RK-100S、キーター!」と言って通じるところなのに残念です。はい、このパラグラフで言いたかったことはそれだけです。
ショルキーの国内での先駆者はヤマハでして、「KX1」というモデルが1983年、「KX5」が1984年に発売されておりました。特に安価で軽いKX5は、その後、10年以上のロングセラーを続けました。ギタリストやボーカリストと同じように、キーボーディストがステージでフロントに立てるというので人気があったわけです。
そこからやや遅れて発売されたKORG RK-100は、木製のボディーと斜めに切り落とされたデザインがカッコよかったわけですが、製品としては4年で消滅しています。この時代のショルキーは、いずれも音源を内蔵しないリモートキーボードでした。
そのRK-100が再び脚光を浴びるのは、あの「けいおん!」です。エンディングテーマで琴吹紬が肩から下げていたのが、RK-100だったのでした。ショルキー自体も各社のラインアップから長らく途絶していた状態だったので、もう少し早い段階で出るものと思っていました。
この製品、実際には女子の引きがものすごく強いようです。私を代表とする小太りの中年男が肩から下げてもあんまり麗しくないので、これは幸いなことです。イメージモデルとして起用されたのも、Maika Leboutet (マイカ・ルブテ)ちゃん。いまジワジワと来ている日仏ハーフのシンガーソングシンセ少女です。この会社、こういう人選がいつも素晴らしい。
ご本人編集の自作曲MV「H2O」
実際に発売されたRK-100Sは、型番に「S」が付いただけなので、まるで30年前の製品が復活したように見えますが、中身は現代の技術で固められており、イメージ以外はまったく別物。まずMIDIコントローラーではなく、音源を内蔵した37鍵のシンセサイザーという点。MMT(Multiple Modeling Technology)音源で同時発音8ボイス、ボコーダーにアルペジエーター付きというスペックを見ると、中身はmicroKORG XL相当のものでしょう。
MS-20 miniと同じスリム鍵盤は、ミニ鍵盤と違って長さがあるので、たぶん立奏でも弾きやすいはずです。ネック側にオクターブシフトボタンと、ショートのリボンコントローラー、鍵盤手前にロングのリボンコントローラーがあり、これでピッチや音色を変化させられます。ベロシティー(キータッチの強弱)に合わせて、音色設定ボタンのLEDがレベルメーターみたいに光るのも、ライブ向けの演出でしょう。
ボディーは初代同様に木製で、光沢塗装で微妙な3次元曲線がよく出ています。電源は単3電池6本かACアダプター。電池を入れて3.4kgという重さは、うちのフェンダーのエレキギターと変わりません。実際、音源を積んでいるので、 ギターやベースとまったく同じように使えます。肩から下げるのでスタンドが要らない。ギグバッグ(オプションで欲しい!)で背負って出かけられる。そしてバッグから出して、シールドをアンプにつなげば、ジャーン!
発売は4月下旬の予定。価格は未定です。サンキュッパくらいだったら売れるでしょうねー。
KORG公式のRK-100Sムービー。要らないキーボードスタンドを蹴飛ばしております。
