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スマホで始める「音楽アプリ部」 第30回

iRig PROとBeatMaker 2でカンタンにPAMをやってみる

音楽アプリとMIDIインターフェースでワンランク上の録音法

2014年01月26日 12時00分更新

文● 藤村亮

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iRig PROを通して録音→BeatMaker 2で編集

 iRig PROでは内蔵の9Vバッテリーから給電することで一般的な48V仕様のコンデンサーマイクを使用できます。特別な操作は何もなく、シールドを挿してマイクをつなぎ、側面にあるスライドスイッチを+48V側にするだけ。給電が始まるとロゴ上のランプが赤く点灯します。

本体下部にNEUTRIKのジャック

右側面に48Vのオンオフスイッチ

左側面にはMIDI Input。充実の装備です

本体裏蓋を開けると給電用の9Vバッテリーがあります

 入力音量はGAINつまみで調整。ロゴ下のランプが入力音量の目安となっていて、青→緑→黄色→赤の4段階で表示されます。赤になると信号がクリップして歪んでしまうので緑~黄色あたりでうまく合わせましょう。

今回使用したマイクはAKG C2000B、シールドはBELDENです。コンデンサーマイクの入門機としてお手ごろなAKG C2000B。 ギターはIbanezのAW1107、7弦なのは筆者の趣味です

 まずはコード演奏主体の伴奏ギターを録ります。iRig PROのGAINつまみは11時くらいに設定。BeatMaker 2でAUDIOチャンネルを作成し、チャンネルウインドウの右下にあるAUDIOアイコンをタップして入力ソースとしてINPUT1(MONO)を選択します。MONITORとARM RECORDINGもタップし、機能をオンにしておきます。ここでステレオ感を出すために2つチャンネルを用意し、同じ演奏内容をそれぞれのチャンネルに録音します。

 録音を終えたら、不必要な部分を編集でカットしていきます。BeatMaker 2のEDIT MODEでSAMPLESを選び、波形をズームして音の入っていない部分を選択。右上の四角に×の入ったDELETEをタップして選択範囲を削除します。これをすることで不要なノイズを抑えることができます。

ピンチ&ズームで細かく編集可能

 編集を終え左上の×をタップすると、波形の保存を求められるので同じ名前で上書きか、別の名前で保存かを選びましょう。

 次に単音弾きのギターソロを録ります。単音弾きだとコード演奏に比べて音量が小さくなるので、GAINつまみで入力を調整……するべきなのですが、今回はあえてそのまま同じ設定で録音。波形を見ても明らかに小さく、当然このままではソロパートが聴こえません。

 そこでBeat Maker 2のNormalize機能で音量を持ち上げます。まずは編集したいオーディオデータをダブルタップ。EDIT MODEでSAMPLESを選び、波形全体を選択。PROCESSでNORMALIZEをタップするとノーマライズがかかり、全体の音量が上がります。

今回はイメージどおりになりましたが、プレイの内容によっては思い通りのニュアンスに仕上がらないこともあるので、その場合にはGAINを調整して録音しましょう

 不要な部分の編集を終えたら、あとはミックス作業です。

ここまで作業するとこんな作りになります

 ミキサー画面のPANの設定で、2つ用意した伴奏ギターのチャンネルを90:10と10:90に設定してそれぞれを左右に振り分けました。一般的な音楽アプリだとL64~R63といった128段階での調整幅を持つものが多いですが、BeatMaker 2では100:0の200段階の調整幅となっており、より細かい設定が可能です。

 両方のチャンネルに同じエフェクトをかけるためにFX BUSを作成し、FX01にCHORUSエフェクターを挿入します。ミキサー画面のSENDSにあるFX01つまみでエフェクターのかかり具合を調整。最初に基本トラックとして作成したキーボードチャンネルにはまた別のセッティングのCHORUSをかけたいので新しくFX BUSとしてFX02を作成し、CHORUSを挿入します。単音弾きのギターソロパートには直接REVERBを挿入し、あえて広がりが出過ぎないように作り込んでいきます。

BUSを上手に使うことでiPad本体への負荷も抑えられます

 楽曲全体にエフェクトをかけたいときはMAINのINSERT FXにエフェクターを挿入します。ミックスが終わったらEXPORTでWAVデータにして書き出して完成です。


今回作ったデモです。


 前回のリアンプと続けてiRig PROを使用してみて、ハンディサイズのインターフェースでもここまでの音で録れるのかと驚かされました。耐久性に定評のあるNEUTRIK社のジャックと内蔵する9V電池の重さも相まって、安心感が持てます。ギターやベースだけをプレイするならシンプルなiRig HDでも充分ですが、マイク録りやMIDIキーボードなどにもきちんと“使える”iRig PROは値段分以上の価値がある優れたインターフェースだと思います。



藤村 亮(ふじむら りょう)

photo by Shin Kobayashi

 1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。

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