快適さを生み出す絶妙のサイズ感
以上の点を踏まえた上で「Endeavor TN10E」を見てみよう。本体の大きさは幅297mm、奥行が192mmであり、これはA4(297mm、210mm)に近づけたサイズとなっている。普段から紙で慣れ親しんでいるこのサイズが「Endeavor TN10E」を持ったときに、しっくりと手に馴染む感じを生み出している。
2010年にiPadが登場して以来、筆者は数多くのタブレットにさまざまな場所で触れてきたが、10型以下のタブレットには、共通の不満があった。それは「紙に比べて小さい」ということである。さらに付け加えると、Windowsタブレットの場合には、別の不満があった。タブレットでフルHD解像度のデスクトップ表示をすると、アプリケーションのインターフェースが小さすぎて、アイコンやボタンをタッチしにくいという問題だ。
たとえば、Windows 8.1タブレットのデスクトップ上でiTunesのプレイリストを開こうとして、プレイリストフォルダの横にある▽ボタンがうまくポイントできず、プレイリストを開くために画面を何度も何度もタッチするはめになる。ほかにも、コンテクストメニューの項目を選ぶだけでもひと苦労なのだ。
Windows 8.1では、テキストやアイコンの拡大率を変更することで、こうした操作上の不満を軽減できるようになってはいるが、高解像度のデスクトップ画面が指先で操作しにくいことに変わりはない。ただ小さければ良いという話ではなく、ある程度の大きさも必要で、紙のように手に馴染み、デスクトップ画面も使いやすいことが、良いWindows 8.1タブレットの条件なのだ。この意味において「Endeavor TN10E」は現時点におけるWindows 8.1タブレットとしては、非常に完成度が高いという印象を受けた。
おそらく、本製品が11.6型というタブレットにしては若干大きめのサイズになっているのは“紙の使用感に近づけたい”、“デスクトップを使いやすくしたい”という、開発者の意図があるのではないだろうか。それを裏付けるのは、本製品がIntelのCPUではなくAMDのAPU(A4-1200)を搭載しているということである。このA4-1200 のメリットは、CPU・GPU各種のコントローラの機能が、ひとつのAPUに統合されている点にある。これにより、基板に実装する際の実装面積を小さくすることができ、PCメーカーが基板を小さく設計することが可能になる。省電力や低コストというメリットももちろんあるが、タブレットの操作性を高めるために、設計の自由度が高いA4-1200を採用したのではないだろうか。