さて、17.3インチ液晶搭載大型ノートPCとはいえ、4基ものSSDをどうやって搭載しているのだろうか。その秘密は、「Samsung SSD 840 EVO mSATA」の採用にある。Samsung SSD 840 EVO mSATAは、Samsungの最新製品で、その名の通り、2013年7月に発表された2.5インチフォームファクターの「Samsung SSD 840 EVO」のmSATA対応版である。mSATAは、主にUltrabookや組み込み用途、超小型PCなどで用いられているインタフェース規格だ。電気的な仕様はSATAに準じているが、コネクタが小型化されており、対応製品はmini PCI Expressカードと同じような小さなカード型モジュールとなる。
Samsung SSD 840 EVOシリーズは、SSDの領域の一部を擬似的にSLCとして利用することで、従来比3倍の性能を実現する「ターボライトテクノロジー」や、メインメモリをキャッシュに利用して性能アップを実現する「RAPIDモード」といったSamsung独自技術を搭載している。
SLCは、1セルに1ビットの情報を書き込む方式で、書き込み速度が高速になる点が特徴。対するMLCは、1セルに保持する情報電圧を変えて複数の情報を書き込める。Samsung SSD 840 EVOは3bit MLC型のSSDだが、SLCとしての特長も備え、“いいとこ取り”の製品と言える。
Samsung SSD 840 EVO mSATAも、形状以外の基本スペックは2.5インチのSamsung SSD 840 EVOとほぼ同じと考えてよいが、新たにHaswell搭載システムとの組み合わせでアイドル時の消費電力を抑える「DEVSLP」が搭載されており、さらなる低消費電力化が実現されている。
Samsung SSD 840 EVO mSATAのラインナップは、120GB/250GB/500GB/1TBの4モデルとなっており、mSATA対応SSDで1TBの大容量を実現したのは、世界初である。これまで、SSDは速いが、HDDに比べて容量が少ないという欠点があった。そこで、SSHDやハイブリッドHDDといった、SSDとHDDを組み合わせるソリューションも使われているが、やはり、SSDに比べると性能は低くなるため、容量は妥協する必要があったともいえる。しかし、Samsung SSD 840 EVO mSATAなら、容量と性能のどちらも妥協しなくてすむのだ。
試用機の、NEXTGEAR-NOTE i1100PA4-SP3では、Samsung SSD 840 EVO mSATA 1TBを2枚、2.5インチ版のSamsung SSD 840 EVO 1TBを2基搭載することで、合計4TBの大容量を実現している。なお、Samsung SSD 840 EVOファミリーのもうひとつの特長であるRAPIDモードは、SSD1基搭載時のみ利用できる機能であり、今回のマシンのようなRAID構成では利用できない。