CPUパワーは低下したが
GPU性能は向上
まずCPUのパワーを見るために「CINEBENCH R15」のスコアーを比較しよう。Steamrollerで処理効率が最大2割(AMDによる値)向上したそうだが、「A10-7850K」は6800Kよりクロックが遅い。これがどう結果に影響するのかが見ものだ。
トップに立ったのは「Core i5-4670K」。いかにSteamrollerといえども、現在のCore iに勝てるほどのパワーはないようだ。特にシングルコア性能の違いは圧倒的。
さらに「A10-7850K」は「A10-6800K」よりもスコアが下がってしまった。CPUコアの動作クロックが低く設定された影響がかなり効いているようだ。CPUパワーに関してはオーバークロックや高速なメモリーを使わない限り、Richland世代のAPUを超えることは難しいだろう。
続いては「3DMark」で描画性能をチェックする。SP数が512基と少ないことを考慮し「Cloud Gate」と「Fire Strike」を使用した。
今回の「A10-7850K」テスト環境では、Fire Strikeの描画に微妙な不具合があったため、あくまで参考値として見て頂きたい。
Cloud Gateだけを比較すると、「Core i5-4670K」にスコア負けしているものの、「A10-6800K」に対しては約1割のアドバンテージを確保できた。Fire Strikeはまだドライバ熟成などの改善の余地があるものの、内蔵GPUとしては突出した性能を発揮している。
APUの利用シーンとしては、軽めの3Dゲームを内蔵GPUだけでプレイしたい、という点が考えられる。そこで「ファイナルファンタジー: 新生エオルゼア」の公式ベンチ(キャラクター編)のスコアも比較してみた。解像度は1920×1080ドットに固定し、「最高品質」および下から2番目の「標準品質(デスクトップPC)」で比較する。
3DMarkの時とは異なり、このテストでは「Core i5-4670K」が最もスコアが悪く、「A10-7850K」がトップに立った。しかし最高品質&フルHDでは設定変更が必要になるスコアであるため、あくまで画質か解像度を下げれば楽しめる程度のパワーだ。とはいえ、性能限界が低い内蔵GPUでここまで性能を伸ばしてきた点は多いに評価すべきだろう。
Mantle対応ゲームはまだないので、DirectX版の「battlefield 4」での性能もチェックしてみたい。解像度は1920×1080ドット、画質“中”に設定し、キャンペーン「Tashgar」開始時シークエンスのフレームレートを「Fraps」で測定している。
メモリーがDDR3-1600なせいもあって、「A10-7850K」でも30fps突破は果たせなかった。しかし「Core i5-4670K」や「A10-6800K」に対してはっきりと描画性能が向上しているのがわかる。A10-7850Kの内蔵GPUはRadeon HD 7750とほぼ同じ規模のGPU(512SP、コア800MHz動作)だけに、高性能メモリーを使ったチューニングが楽しめそうだ。
この連載の記事
-
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 -
第432回
自作PC
第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る -
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 - この連載の一覧へ