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山谷剛史の「アジアIT小話」 第64回

超親日な80年代生まれの中国人夫婦にゲームやアニメの話を聞いた!

2014年01月10日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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今回はマンガやゲームなどを通じて、大の日本好きとなった若い中国人夫婦に話を聞いた。新婚旅行も日本に行ってきたようだ

大の日本好きがきっかけで結婚に至った
若い中国人夫婦に話を聞いてきた

 中国では、NARUTOやONE PIECEを筆頭にさまざまなアニメやマンガが見られている。ゲームについては今でこそスマートフォンで遊ばれているが、以前は個人輸入したPSPやPS2を購入し海賊版を遊ぶ人をよく見かけた。

 子供向けのコンテンツは中国製が多いものの、中国の若者は日本のコンテンツで育ってきたのだ。中国ではアニメやマンガやゲーム(中国ではACGと呼ぶ)で育っても日本が好きになれない人や関心を持たない人が割合としては多い。

 たとえば言論NPOが出している「日中共同世論調査」の最新の結果では、中国人が持つ日本のイメージで、マンガ・アニメと回答する人はわずか2.3%に過ぎない。とはいえ日本のアニメやゲームが好きで、それがきっかけ日本語を学びはじめて、日本がものすごく好きになる人もいる。

 中国内陸の100万人都市に住む、日本がきっかけで付き合い、最近結婚に至ったカップルに話を聞いた。いずれもハンドルネームでの紹介となるが、男性は「シンル」さん、女性は「かすみ」さん、どちらも26歳だ。日本好きゆえに2人はお互い日本語で会話できる上に、かすみさんはシンルさんを「お兄ちゃん」と呼ぶ(正直うらやましい……)。

ファルコムマニアのシンルさん

アトリエシリーズのファンのかすみさん

 2人とも日本語は流暢で、特にシンルさんは日本語テストで周辺の省の中で1位となるなど、ずば抜けた能力を持つが、日本企業が少ない都市なので日本語とは無縁の仕事をしている。年収3万元(約50万円)を稼げれば、まずまずの稼ぎとなる都市で、その頭の良さからか、シンルさんの年収は9万元、かすみさんは6万元となかなか高収入だ。

 結婚すると家を買って、家具家電を一式揃えるのが中国では一般的なのだが、2人のお宅の中を見ると、中国の新婚家庭で定番の巨大な変身写真のほか、PS3とWiiとXbox 360が並び、さらにPSPやニンテンドーDSなど携帯ゲーム機も所有。さらにテレビはソニー、白物家電はパナソニック製と日系メーカーで揃えている。新婚旅行には当然のように日本を選び、現地で買ったモノがいろいろと並ぶ。そんな2人に率直に話をいろいろ聞いた。

写真撮影にかすみさんはわざわざコスプレして対応してくれた(うらやましい……)

家中に日本製品とコンテンツだらけ
新婚旅行では日本を満喫

――日本製品に囲まれてますね。ここまで揃うと感謝しか出ないです。

かすみさん「でも一点豪華主義というか、他には興味ないんです。ゲームの環境だけは力を入れてますね。携帯ゲーム機は2人分揃ってるんですよ(と見せる)。2人でバンドブラザーズ2本買って遊んでます。今はポケモンXを遊んでいますが、Yも買いたいですね」

シンルさん「最近はスマートフォンのゲームもやってます。パズドラも課金して少し遊んでます。クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズはまったくわからないです。知っていたら面白いと思いますね」

STBとXbox 360を除いて日本で揃える徹底ぶり

趣味は日本だからこその2本買い

――新婚旅行での日本はどうでした?

かすみさん「私の青春時代はまるで日本で暮らしていたような気持ちでした。アニメとかマンガのこととか考えていていました。だからこの前日本に行ってとてもうれしかった! 実際に行ってみてアニメとマンガの風景が一致してたんですよ!」

シンルさん「日本では大阪と北海道に行って、日本の優しさが身にしみました。ゲーム、マンガ、オタクグッズを絶対買いたいと構えて、大阪では日本橋のでんでんタウンで、フィギュアやマンガとか買いましたね。中国では(輸入店でも)売っていないものが結構あって」

かすみさん「化粧品や電磁波防止のエプロンとかのグッズのニーズがあって、お土産で2万元(約33万円)買いました」

シンルさん「東京には行ってないので、今年の春節には今度こそ東京に行きたいと思ってます」

かすみさん「でも途中で上海見たら高層ビルに驚きました。上海のほうが大都会じゃないかとも思いました。どう思いますか?」

――うーん、何をもって大都会とするかによりますが、高層ビルや大きなショッピングセンターなら上海のほうが多いですね。ところで、日本に興味を持ったきっかけを教えてください

シンルさん「僕自身は1998年、小学6年生のときにPCを買ってもらいました。そのとき勉強の傍ら、台湾の仙剣奇侠伝(筆者注:当時のPCユーザーの間で最も有名な中華系RPG)とディアブロをやりはじめて」

かすみさん「私は小学5年生のときにPCがあって、レイマンとか、ときメモとか、中国の大富翁というカードゲームのPC版を遊びました」

――早いですね。パソコンも高かったでしょう!?

シンルさん「パソコンショップの自作を買いました。当時で8000元(約14万円)はしたかと。メーカー製はもっと高かったので。」

――月収が1000元もないのが当たり前の時代でした。すごい額ですね。

シンルさん「日本のゲームは2004年の僕が高校3年生だったときで、そのとき英雄伝説5を電脳街で手に取りました。こちらでは娯楽通という会社が出してたと思います。そのゲームが好きになって、ファルコムに興味を持ち始めて、空の軌跡FCを見つけて遊んで、それでいよいよ日本語を勉強したくなりました。その後の英雄伝説 空の軌跡 the 3rdが出始めて、中国語翻訳版がなくて日本語版だけだったので日本語を勉強し始めたのです」

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