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PC4台として使えるMoonshotのキラーカートリッジ投入

R&Dの成果を顧客に還元!HPサーバーの2014年は革命の年

2014年01月10日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月9日、日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)は2014年のサーバー事業戦略説明会を行なった。大きく再編される製品事業や3大プロジェクトのアップデートも披露。新製品として、超高密度サーバー「HP Moonshot System」の新カートリッジも投入される。

従来型の基幹系、UNIX、x86の製品事業から脱却

 今回の事業戦略のポイントは、ミッションクリティカルサーバー(NonStop)、UNIXサーバー(Integirty)、x86サーバー(ProLiant)に分かれていた製品事業を、顧客のニーズや利用形態に合わせて再編することだ。2014年度からは特定のワークロードに特化した「ハイパースケール」、次世代のミッションクリティカルを推進する「エンタープライズ」、そしてSDDC(Software-Defined DataCenter)による自働化を中心とした「コア」の3つの事業で製品が展開される。こうした標準化されたプラットフォームに、HPならではの技術や製品を載せていくのが、同社の基本的な戦略になるという。

サーバー製品事業の再編

 事業戦略について説明した日本ヒューレット・パッカード HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏は、クラウド、ソーシャル、モバイル、ビッグデータの4つのメガトレンドが「New Style of IT」として台頭しつつあるとアピール。HPはこれを支える市場リーダーになるべく、冒頭に説明した製品事業の再編のほか、製品力や専任体制、パートナー連携を強化する。また、ミッションクリティカル基盤の推進を進めるべく、テクノロジーコミュニティを発足し、技術交流や製品の共同検証、設計強化などの取り組みを進めていくと説明した。

日本ヒューレット・パッカード HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏

 さらに手島氏は、こうしたNew Style of ITはテクノロジーの進化なくして実現しないと説明。同社が推進する「Project Voyager」「Project Odyssey」「Project Moonshot」の3つのプロジェクトを筆頭に、「2014年はR&Dの成果をお客様に還元する」とアピールした。

3つのプロジェクトを軸に、サーバーのプラットフォームを再定義する

x86ベースのミッションクリティカルサーバーがいよいよ離陸

 今回発表された3つの事業は前述した3つのプロジェクトと密接に結びついている。説明会で登壇した日本ヒューレット・パッカード HPサーバー製品統括本部 統括本部長の橘一徳氏は、2014年を最新テクノロジーによってサーバーを再定義する「革命の年」と位置づけ、3つのプロジェクトの最新動向をそれぞれ説明した。

日本ヒューレット・パッカード HPサーバー製品統括本部 統括本部長の橘一徳氏

 コア事業で管轄するProject Voyagerでは、データセンターでの運用管理を革新すべく、管理機能の充実と情報収集や提供をサーバー単位で“自働化”してきた。2014年は、OpenStackをベースにしたSDDCを標榜し、“自働範囲”をサーバーからデータセンターレベルに引き上げる。

 具体的にはハードウェアインフラを統合管理する「HP OneView」の対象を現状のブレードサーバーから、ネットワーク、ストレージにまで拡大。また、今夏にはより上位のクラウドオーケストレーターとして動作する「HP Cloud OS」を提供する。こうした施策により、ワークロードに最適化された適材適所のインフラを1つのコンソールから自由に制御できるようにするのが、Project Voyagerのゴールだ。橘氏は、「トラディショナルなIT環境だけではなく、プライベートクラウド、プライベートクラウドをオフバランスしたマネージドクラウド、さらにはパブリックまで統合管理に取り込む」と、幅広いインフラに対応する意欲的なプロジェクトであることをアピールした。

SDDCを前提としたHP OneViewとHP Cloud OSの展開

 エンタープライズ事業で管轄するProject Odysseyは、x86をベースにした新しいミッションクリティカルシステムの開発プロジェクトを指す。同社は企業のカスタムアプリケーションや高信頼データベースに対して独自の専用サーバーやOSを提供してきたが、クラウドやビッグデータなどの台頭を経て、新たなミッションクリティカル領域が増えている。「従来情報系として扱われてきたメールやデータ解析、監視制御などもダウンを許されなくなった。こうした新たな領域はもはやミッションクリティカルと言っても差し支えなくなっている」(橘氏)。こうした領域を前提にメガトレンドを牽引する新たな需要を掘り起こすのが、コード名「DragonHawk」と呼ばれる新プラットフォームになる。

x86ベースのミッションクリティカルシステム「DragonHawk」

 DragonHawkは通常のWindowsやLinuxが稼働するx86サーバーでありながら、大容量のメモリとマルチCPUを提供する。第1弾として、SAP HANAを搭載したインメモリDBアプライアンスがリリースされるほか、最新Microsoft SQL ServerのインメモリDBアプライアンスも予定。さらに、Red Hat Linuxの長期サポートも2014年初旬に開始する。一方でUNIX・NonStopをベースにした現行のミッションクリティカルシステムへの投資も継続的に行なわれ、サポートや機能の強化も進められることも明言された。

リモートPC用や8コアAtom搭載のカートリッジも

 新製品としてはハイパースケール事業で管轄するProject Moonshotの新カートリッジが用意された。特定用途への最適化を目指し、徹底した省エネ・高密度を追求したProject Moonshotは昨年、HP Moonshot Systemとして製品化。4.3Uのシャーシに45のカートリッジを収納できる新プラットフォームとして、ブレードサーバーや汎用サーバーとは異なるサーバージャンルを切り開こうとしている。

 昨年の発表時は、デュアルコアのAtomを搭載した静的Webワークロード用のカートリッジのみだったが、今回は新たにHDI(Hosted Desktop Infrastructure)を想定とした「HP ProLiant m700(以下、m700)」と8コアのAtomプロセッサーを搭載した「HP ProLiant m300(以下、m300)」が追加された。

新たに発表されたHDI用のm300と8コアAtom搭載のm700

 m700が提供するHDIは、HPが提供する新しいリモートデスクトップソリューションで、既存のVDIのように仮想化を用いず、サーバー側の物理PCをリモートから専有するという仕組みとなる。物理リソースを共用しないため、性能面での問題が起こらず、ビデオカードやSSDの搭載も可能だ。今回提供されたm700は、128のグラフィックコアを持つAMD Radeonと4コアのAMD Opteron SoC、メモリ、SSDを4ペア搭載しており、それぞれのペアを1つの物理PCリソースとして扱える。このm700をHP Moonshot Systemに搭載することで、1シャーシで最大180ノードをカバーできるという。既存のPC環境に比べて導入時間や消費電力を大幅に抑えられるほか、既存のVDIに比べてもインフラコストを削減することが可能だ。

仮想化を利用しないリモートデスクトップソリューションであるHDI

 一方のm300は、動的なWebワークロードをサポートすべく、8コアの「Atom C2750」(コード名:Atovon)を採用した。従来のデュアルコアのAtomカートリッジに比べ、コア数とメモリは4倍、クロックも120%アップ。弱点だった処理能力を、約7倍高速化した。「今回の製品を待つというお客様もけっこういた。スマートフォンやタブレットを前提としたプロセッサーなので、量産効果による低コスト化も期待できる」(橘氏)とのことで、期待も大きい。

 こうした新製品の投入を踏まえ、2014年はHP Moonshot Systemの適用領域を拡大していく予定。直販のみの従来の販売形態からディストリビューターを介した販売も展開していくという。ある種“キワモノ扱い”されていたMoonshotだが、処理能力のボトルネックや用途に特化したカートリッジが登場したことで、利用価値は飛躍的に大きくなったといえる。

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