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もっと速く! ドコモが切り開くLTE-Advancedの未来

2014年01月17日 12時00分更新

文● 平澤寿康

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一番ユーザーが気になる
Xiの速度について

───ドコモは、下り最大150Mbpsという高速なサービスを開始していますが、各社とも最高速度を競っているように見えます。ただ、実際に使ってみると、速度が理論値に遠く及ばない場合が多い。最高速度を競うよりも、安定して高速な実効速度が得られる方がユーザーに喜ばれると思いますが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

平本 ある時はスピードが出るけどある時は出ない、といような状況が、ユーザーにとっていちばん使い勝手が悪い状況だと考えています。実際にユーザーからの声でも、ピークはいいから最低限ある一定のスピードが出るようにしてほしい、という声が多くなっています。ドコモでは、基地局ごとにもっとも混んでいる時間帯で最低これだけのスピードが出る、という基準を設けていますので、混んでいる時間でも一定のスピードを出すことを一番に考えて設計しています。加えて、高速を追っていくとピークも上がっていきますし、アベレージも上がっていくので、しっかり展開しないといけません。

 ただ、場所によっては、アベレージよりも速い速度が欲しい場合もあります。そういった場所は基準にかかわらず、重点的に管理してシステム容量をMAXまで上げるといった対応をとっています。

Xiはまだまだ発展途上、品質をチェックしながらエリア拡大とスループット向上を実現したいと平本氏

───東京都心の状況についてお聞きしたいのですが、一時Xiは速度が遅く、データが詰まるといった状況が多く見られましたが、現在はどうでしょうか。

平本 実際に、駅や駅周辺で混んでいる時間帯ではスループットが落ちる現象が見られました。現在では、1.5GHzや1.7GHzといった帯域を追加したところもありますし、細かなセルチューニングで、周辺セルとのエリアの調整などを行なったりもしています。

 例えば、混んでいるセルは範囲を狭くし、空いているセルは範囲を広くする、といった調整によって、セルで収容する人数が変わってきますので、バランスが取れます。また、パラメータを変更することでスループットを上げられる、ということもあります。

 これはドコモの特徴でもあるのですが、全国の基地局を同じアプリケーションで制御をかけていて、機能追加やパラメータチューニングでいいものがあれば、短期間で全国の基地局の設定を変えたり機能を追加できますので、常に改善を図っています。LTE開始直後はまだチューニングできていない部分もあったのですが、現在では多くのトラフィックデータが取れていますので、その振る舞いを見ながら制御を改善してスループットを上げて行くという取り組みを行なっていますので、今は解消されつつあると思っています。

───多くのトラフィックデータがあり、また短期間でチューニングが行なえる機能が基地局に備わっていることで、それを突き詰めてリアルタイムにトラフィックの状況に応じて基地局のパラメータを変化させることも可能かと思いますが、そういった方法の実現は難しいのでしょうか。

平本 パラメータを変更すると、スループットは上がっても品質が下がってしまうということもありますので、難しいですね。パラメータを変更するとしてもしっかり検証しなければなりません。短期間で全国展開できるとはいっても、それまでには基地局やエリアといった単位での検証も必要になります。

───リアルタイムは難しいとしても、例えば、ターミナル駅が含まれる基地局で、通勤ラッシュの時間帯だけパラメータを変化させるというように、特定の時間帯で基地局のパラメータを変更させているというようなことは実現できませんか。

安部田 トラフィックの状況変化に十分に対応できていないかもしれませんが、混み具合によって自動的に変わるパラメータは存在しています。

山手線の全駅で1.7GHzのエリアを構築
対応端末ならかなり高速!?

───ところで、先日速度調査を行なった時に、高田馬場付近で60Mbpsを超える非常に速い速度を記録しました(関連記事)。これは何か理由があるのでしょうか。

平本 高田馬場については1.7GHzによる150Mbpsのサービスを開始しているため、高いスループットが記録されたのではないかと思います。

高田馬場での結果。驚くほどのハイアベレージが出た

───逆に、品川や池袋では全く速度が出ないという状況が続いているようですが、そのあたりの認識や対策はどうでしょう。

平本 もちろん、日々データは蓄積されていますのでそれも認識しています。日々いろいろな取り組みをやっていますし、遅いところを重点的に対策を取っています。また、1.7GHz帯域を展開していますので、そこはかなり武器になると思っています。1.7GHzに対応しない端末は使えませんが、1.7GHz対応端末は1.7GHz帯域につながるようになりますので、既存の帯域が空くことになって、既存端末も快適になっていくと思います。

 まだ1.7GHz対応エリアは少ないのですが、2013年12月末時点で山手線のほぼ全駅でサービスが開始しております。また、大阪環状線ではかなりスループットが向上したのも確認されています。今後、エリアの展開は加速していきたいと思います。

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