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Swingmailはスマホ時代のメール洪水の助け舟となりえるか

2014年01月07日 07時39分更新

文● 松下 康之/アスキークラウド

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 2014年が明けて既に仕事を始めている方も多いと思うが、最初にオフィスに着いて自分の席に座りPCを立ち上げてやるべきことは受信メールのチェックだろう。それは別に新年最初の仕事でもなく週明け月曜日でも同じかもしれない。海外とビジネスをされている方は土日に着いた海外からのメールをまずチェックしないと何も始まらないはずだ。

 会社のメールを自社のPCでないとチェック出来ないとすれば、外出が多い営業やビジネス開発の担当者の生産性は相当低くなる。そのためにVPNやWebベースのメールアプリを活用している企業も多い。既にノートブックPCだけではなくスマートフォンやタブレットが企業向けのデバイスとして活用されており、セキュリティに関する懸念もあるが、なし崩し的に使用を認める企業や部門も多いと聞く。

 そんな中、受信メールが洪水の様に溢れて必要なメールを見つけづらくなったり、返信が遅くなってしまい、業務に支障が出る場合もある。いまや溢れる受信メールを如何に効率的に処理するのか、溜まったメールの中から必要なメールを素早く検索出来るか、が「出来るビジネスパーソンの能力」のひとつとなってしまった。更に状況をややこしくしているのは電子メールだけではなくSNSのメッセージ機能が意外とビジネスでも活用されていることだ。いまやツイッターやフェイスブックは情報交換のインフラとして一定の支持を得ており、ツイッターの140文字という制限を除けば機能面ではなんら遜色のない「メッセージ交換アプリ」なのだ。つまり会社の電子メールとSNSのメッセージの両方を会社のPCやモバイルデバイスで上手く処理することが必須になってくる。

 そのような状況を解決するためにモバイルデバイスでのメール処理を効率的にしかも抜けが無いようにするアプリケーションがiPhone向けに公開された。以前の記事で紹介したSwingmailというアプリケーションだ。SwingmailはGmailとツイッター、フェイスブックのメッセージをiPhoneから読み、返信することが出来る。

Swingmailのスクリーンショット。シンプルなUIだ。

Swingmailのスクリーンショット。シンプルなUIだ。

 ここでのポイントはやりとりの頻度から重要なメールだけを抽出し、それに対する返信機能だけを実現していることだろう。つまり通常のメールアプリが持っている標準機能である「宛先を選んで新規にメールを作る」という機能が省かれているのだ。モバイルデバイスを持って外に居る時に返信が必要なメールだけを抽出し、シンプルに返信だけを行うアプリである。 操作もリスト上に並んだメールをスワイプ(タッチして横に移動する)アクションだけで行えるように簡略化されており、時間が無い時に必要最低限の機能だけを果たすように工夫されている。これを「機能が足らない」と切り捨てるユーザーも居るだろうが、よく考えて長々と返信を書くのはオフィスに戻ってキーボードに向かえば良い、それまでの繋ぎとしての返信メールを送る、というのは実際問題としてよく遭遇する状況だ。

 現状では英語のインターフェースだけとなっており、開発元のBHIはまずは英語圏での浸透を狙っているようだ。時間の無いモバイルユーザーが飛びついた後にじっくり日本語UIで日本人ユーザーを獲得しよう、という作戦だ。 具体的に利用者が拡がってどのように製品が拡張されていくのか、メール洪水に抗うためにあえてシンプルに機能を切り捨てたSwingmailの将来をしばらくは観察していきたい。

英語版のアプリケーションのダウンロードは以下から。 https://itunes.apple.com/jp/app/swingmail/id627868467

公式サイト:http://swingmail.co/

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