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モノの特性を活かすために、機能を優先したらカッコイイLED照明ができた

LED照明に革命を起こす!? 「CSYS」とジェイク・ダイソンの野心

2014年01月08日 11時30分更新

文● 飯島恵里子/ASCII.jp編集部

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赤丸の部分の滑車がスムーズに動くことで、ストレスなくライト位置を変更することができる

機能追求から導き出されたデザイン

 「デザイン」というと定性的で数値化できない言い回しであるが、シーシスのアイコンともいえる50cm以上におよぶ横長のアーム形状は、放熱を重視しヒートパイプを採用した故のカタチである。ヒートパイプの内部は真空で毛細管状のチューブが収められている。封入された水滴が発熱部で蒸発し気体となり、蒸気が低温部に移動し冷まされて水滴となり内部で循環する構造だ。シーシスの水平に伸びるLEDライトのアーム部分が、ほぼそのままヒートパイプなのだ。「長寿命のLED電球」を作るのではなく、半永続的に利用できる照明機器としての目的を果たすために付加された機能から生まれた形状がシーシスであり、そのデザインのゆえんというわけだ。

ジェイク直筆のヒートパイプの構造図。左は真空のパイプのなかで液体が気体になり循環する仕組みを図にしたもの。右は熱伝導に優れた銅の内部構成。内側はメッシュ状になっている

シーシス発表会の案内状には、シーシスの断面図と現物と同じ構造もつヒートパイプが配されていた

 シーシスはヒートパイプだけが特徴ではない。ともすればシンプル過ぎるように感じる、水平・垂直のスタイルは、建設用クレーン、エレベーター、製図台からヒントを得ている。交差部分の表裏に取り付けられた滑車が、水平・垂直にスムーズにアームを誘う。垂直に立つ柱に寄り添う錘は、タッチセンサーで調光スイッチの役割も担う。

 「トレンドの産物のようなファッション(流行)で終わるデザイン、製品は作りたくなかった。特にイタリアのデスクライトは流行を重視したデザインの製品が多い。見た目をだけ重視して、本来のLEDのテクノロジーやポテンシャル、ライトの明るさや照明の色などは気にしていない。長く使えるLEDだからこそ、タイムレスなデザインを意図している。そこには流行に左右された一時的なデザインではなく、必要な機能がもたらした形状が相応しい。

 シーシスのすべてのパーツには機能が付いていて、無駄なものはなにもない。例えばアームの中のケーブルは錘の上げ下げをする。見た目を向上するためのものではなく、機能上必然的に付加されたものであり、LEDチップと同じく37年使えるようにパーツのテストも実施している。

 LED電球とデザイン重視で選ばれたパーツを組み合わせて作られた既存製品は、LEDに寿命を与えてしまう。例えば、木材のシェード(傘)との組み合わせは、1年後にライトのクオリティが約50%ほど落ちるといっていいだろう。LEDが熱くなりひび割れを起こすからだ」

シーシスのLEDチップ部分のパネル。LEDチップの性能が向上した将来を見据えて設計されている

 「僕たちが作りたいのはLEDの特性を見据えて、効率を活かす製品を作ることだ。大手メーカーはユーザーが数年ごとに買い換える必要があるような製品を作っている。僕らは将来、高性能なLEDチップが開発された場合も考慮している。例えば、将来ひとつのLEDチップでこれまで8個分の性能を持つようになった場合、他の部分を閉じて簡単にパーツを変更し、新しいものに対応するようなことだ。今だけのことを考えているのではなく、永続的に利用できるLEDだからこそ、将来に渡って対応できるように考えている」

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