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DSC-RX10を作った人々に聞く、製品ができたワケ

プロライターがソニーRX10の企画開発者に感謝状を届けてみた

2013年12月28日 12時00分更新

文● 四本淑三 

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RX10の魅力は「分かる人には分かるだろう」

―― まずRXシリーズはソニーの製品群の中では、どういうポジションなんでしょう?

三島 サイバーショットの中では一番上のポジションです。薄型のTシリーズ、オーソドックスなWシリーズ、HXのようなハイズーム機というラインアップを取りそろえているんですが、それだけではマーケットの変化に応えられなくなってきました。そこで何か新しいものと考えたときに、前にR1※1という思い切り振り切ったカメラがひとつあったんです。

―― そのR1の後継がRX10という風にも見えますが。

三島 それは否定しませんが、一方で他社様からも高級コンパクトが出始めてきました。そこに開拓の余地があるということで、思い切り力を注ごうと。そして今のRXシリーズを開発しました。多くのメーカーがひしめくコンパクトデジタルカメラ業界で、付加価値が求められるマーケットへとシフトするのは必然だろうと思います。

―― ただ今までの流れから言うと、RXシリーズにRX10のようなカメラが出てくるのは意外でした。なぜこの仕様になったんですか?

千葉 RX100、RX1を出した後に「10」が欠番になっていたんですね。その欠番はどういうカメラにしようか。みなさんが「きっとこういうの出てくるよね」と思われたものを、そのまま出したのでは面白くない。我々はいい意味で期待を裏切りたい。それで一眼カメラユーザーのアンケート集計などを見てみると、意外と同じレンズを付けっぱなしで使っている人が多いことが改めて見えてきたんです。

―― 一眼やミラーレスのレンズキットに付いてくるズームで間に合っちゃう人は多いですよね。

千葉 自分でもレンズを数本持って外に出掛けることは少なく、万能な1本があればなぁ、と思うことがあります。また、普段2本、3本持ち歩くような方にも「これなら数本持つ必要ないよね」と言っていただけるようなカメラを目指しました。レンズの価値が分かるお客様に「すごい」と言ってもらえるものを作ることが、このモデルの開発のスタートでした。

三島 RXシリーズというのは、あっと驚かせるものを作りたい、というところから始まっているんです。RX100は1型イメージセンサーであの画質ですし、RX1はフルサイズイメージセンサーが入っている。もうひとつ驚かせる要素があるとしたら、レンズだよねと。

千葉 それで行き着いたところは「F2.8通し」。24-70mm/F2.8、70-200mm/F2.8のレンズを1本に凝縮しようと。そんなレンズはなかなか想像付きづらいと思うし、誰も作らないものを自分たちで作りたかったんです。

―― RXシリーズは四角いデザインですが、この一眼レフのようなスタイルになったのは?

三島 開発当初はボックスタイプも考えはしていました。でも最優先はレンズでしたので、それにマッチした形として出てきたのがこれです。奇をてらうより、このレンズが使いやすい形にまとめたわけです。

―― ただ、RX10は決して安いカメラではないし、これでも大きい、重いという人もいる。マーケティング的にはどうなんでしょう?

三島 おっしゃる通り、よく言えばブルー・オーシャンですが、「そこにマーケットあるの?」という話もありました。でも確実にレンズの価値を認識してくださる方はいらっしゃると思っていたんです。一眼カメラの中級機を使っているような、レンズ交換をするような方々ですね。だから、そこはブレずに開発していました。一方でハイズームの50倍なんかに比べて「大きい」「倍率も少ない」というご意見も確かにあります。でも分かる人は分かってもらえるだろうと。

―― 単刀直入に言って売れてますか?

三島 まだ立ち上がったばかりですが、ワールドワイドで計画通りには売れています。日本ではサイズがネックだとおっしゃる方もいらっしゃるんですが、欧米の方はサイズは気にしないというか、むしろ大きな方がいいという傾向があり、好評です。

※1 DSC-R1。2005年発売のレンズ一体型デジタルカメラ。当初価格は12万円程度。現在のマイクロフォーサーズより大きな21.5×14.4mmのCMOSイメージセンサーと、バリオゾナーT* 14.3-71.5mm(35mm換算24-120mm相当)F2.8-4.8のレンズを搭載。斬新なデザインと高いスペックを持つハイエンドモデルだった。

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