アマゾンウェブサービス(AWS)は、中国のネット企業である網宿科技(ChinaNetCenter)や光環新網(SINNET)などと提携して同国内にデータセンターを設置し、2014年よりサービスを開始すると発表した。すでに小米科技(Xiaomi)やキングソフトといった日本でも馴染みのあるメーカーがAWSの利用者だが、国内企業と提携したうえでデータセンターを置くことで、サービスを向上させ普及を加速させる狙いだ。
これだけなら「まあそうだよね」で済んでしまうニュースだが、実は同じ日にIBMも、中国のデータセンター事業者である北京世纪互联宽带数据中心(21vianet)と提携し、同社のプライベートクラウドサービス「IBM SmartCloud Enterprise+」(日本での名称は「IBM SmarterCloud Enterprise+」)の積極展開すると発表した。SmartCloud Enterprise+を足掛かりに、AWSと競合性の高いSoftLayerもじきに展開するのは間違いない。
足並みをそろえたように見える両社の動きは偶然ではなく、これまでもGoogleが値下げを発表するとAWSが追随する例があった。クラウドサービス市場はまだまだ立ち上がったばかりなので、圧倒的な勝者が存在しない。それだけに、判断の速さで逆転可能だ。マイクロソフトがクラウド事業で聯想集団(レノボ)と提携したのも自然な流れと言える。
中国のインターネット人口は6億人に達すると言われている。アップルも中国移動(China Mobile)と提携し、中国でiPhone 5s/5cの販売を開始すると発表した。実質経済成長率が鈍化しているとはいえ、クラウド企業にとって中国はまだまだ魅力的な市場なのだろう。