2013年のデジカメ業界は、普及価格帯のコンパクトデジタルカメラの不振を背景に、高級コンパクトカメラやミラーレス一眼が勢いを増したような印象だ。
年明け早々、ニコンはミラーレス一眼「Nikon 1 J3」と「Nikon 1 S1」を発表(関連記事)。Nikon 1シリーズは2012年まで、ファインダー搭載の上位機種「V」シリーズと、ファインダーレスの普及価モデル「J」シリーズの2ラインアップだったが、より低価格な「S」シリーズを投入することでラインナップを拡大。さらに夏には水中撮影が可能なミラーレス一眼「Nikon 1 AW1」と投入し、Nikon 1ブランドの強化を図っている。
対するキヤノンは、2012年に同社初のミラーレス一眼「EOS M」を投入したが、その後継機種となる「EOS M2」を年末に発売(関連記事)。AFが高速化されるなど、従来機の弱点を解消した。そのおかげか、現在一部のレンズキットを中心に品薄状態になっており、今買おうと思ってもなかなか入手しにくい状態にある。
パナソニックも、エントリーモデルながら無線LANを内蔵するなど多機能な「LUMIX GF6」(関連記事)を筆頭に、EVF搭載の高級機「LUMIX GX7」(関連記事)、手のひらサイズのミラーレス一眼「LUMIX GM1」(関連記事)などを相次いで投入。気合の入ったモデル展開となっている。
そんなミラーレス一眼だが、デジカメ業界では「デジタル一眼レフ」とのラインナップ的な区別をなくす試みも行なわれている。
オリンパスが9月に発表した「E-M1」は、同社のすべてのレンズ交換式カメラの最上位機種という位置づけ(関連記事)。
またソニーが11月に発売したフルサイズデジタル一眼「α7」(関連記事)も、ミラーレス機でありながら従来の「NEX」型番は用いず、「ILCE」という新しい型番を用いている。今後、同社のミラーレス機はすべてILCEからはじまる型番になる予定。
なお、どちらもマウント構造を変更するわけではないので、一眼レフ用レンズを装着する際はマウントアダプターが必要なのは従来と同じ。あくまでブランディングの意味合いに置いての統一となる。
30万円近いデジタル一眼レフが2~3ヵ月待ちの状態に
デジタル一眼レフは、(今年の3月時点で)世界最小・最軽量をうたった「EOS Kiss X7」(関連記事)や、ローパスフィルターのオン/オフができる「PENTAX K-3」(関連記事)など面白い製品がいくつか見られた。一方で、2012年にキヤノン「EOS 6D」やニコン「D800」など20万円前後のフルサイズ機が登場したので、結構普及が進むかな……と思ったが、実際にはあまり製品は多くなかった。
そんな中で特筆すべきは上述のα7が15万円を切る価格で登場したこと。年末には最安値ベースで12万円台にまで価格が落ちており、フルサイズ=高嶺の花という印象は薄まりそう。そして、ニコンが年末に発売開始したデジタル一眼レフ「Nikon Df」は、ボディーのみで28万円前後という価格ながら、生産が追い付かないほどの売れ行きということで品薄状態になっている(関連記事)。
最新機能を搭載したフルサイズ機でありながら、こだわりのダイヤルやレトロな印象のボディー、高級感のある質感などが好評を得ているようだ。
