スライド機構のあるスリムキーボードでUltrabookスタイル
まずは、キーボードを取り付けたノートPCスタイルだ。このスタイルでの本体サイズは、幅309.6×奥行き212.7×高さ20.0mmで、重量が約1.67kgだ。何も知らないで閉じた状態から開こうとすると、おそらくディスプレー側を下にしてしまうだろう。一般的にノートPCの場合はキーボードのある側が本体であるため、こちら側が厚く重い。しかし「ARROWS Tab WQ2/M」の場合はディスプレーのあるタブレット側が本体だ。したがって、重量や厚さもディスプレーのある側にボリュームがある作りになっている。
そのため、普通にキーボードが下、ディスプレーが上、という形でディスプレーを90度よりも開くと、ディスプレー側が重くてひっくり返ってしまう。これを防止する仕組みはキーボードの裏側にあり、底面の半分強がスライドしてヒンジ側に飛び出すようになっている。この飛び出した部分が足となってタブレットの重みを支え、安定させてくれるのだ。畳んだスタイルではコンパクトに持ち運べるが、利用時にはきちんと安定感のある設置を実現しているのがおもしろい。
薄型でもしっかり使えるスリムキーボード
専用の薄型キーボードは、アイソレーションタイプのキーボードとボタン一体型のタッチパッドを搭載している。キーピッチは約19mmで、キーストロークは約1.7mm。
薄型なだけに華奢さは少々感じられ、中央付近を強く押すと軽くたわむような感覚はある。しかし普通にタイプしている分には軽いタッチで確実に入力ができるし、配列に変形もなく扱いやすい。カーソルキーが独立しているところや、Enterキーが大きいところなども好印象だ。
キーボードの奥側はヒンジがあり、少し立ち上がったかたちでタブレットを挿入する受け口がある。ヒンジの左側にリリースボタンがあるのだが、大きめの物理ボタンを1つ押すだけでリリースできるのがよい。タブレットのつけ外しは非常にスムーズだ。
保持して使いやすいタブレットスタイル
タブレット本体に目をうつそう。ディスプレーサイズは12.5型で、ベゼル部と段差のないフラットなタッチ対応液晶だ。本体サイズは幅309.6×奥行き199.3×高さ11.9mmで、重量は約980g。キーボードを取り付けたノートPCスタイルと比較すると、幅自体は変わらないのだが一回り小さく、すっきりと持てるサイズになる。重量的にも、片腕で支えて利用するのに無理のないものだと感じられた。
背面はマットな素材で、細かい格子状のパターンが刻み込まれている。ゴムのように粘る素材ではないが、ちょっとした滑り止めになってくれるので素手で持っている時の安定感はかなりあった。指紋などの汚れもつきづらく、ついた汚れも目立たないあたり素手で扱うのが基本となるデバイスとしてよい作りだといえるだろう。
しばらく使っていると背面が暖かくはなるが、Windowsキーを下にした状態で両手で横持ちした時の、左手があたるあたりが暖かいという程度で、全体が暖まってしまったり、部分的にかなり熱くなるというようなことはなかった。
見やすく指すべりもよいタッチディスプレーを搭載
ディスプレーはフルHD表示に対応するIPS液晶を採用している。表示はとてもクリアで、小さな文字も十分にみやすい。表面加工は光沢のあるグレアタイプだが、直接蛍光灯が映り込むような場所でなければ反射もそれほど気にならなかった。晴天の屋外でも、大陽を背負うような位置で使わなければ快適に利用できるはずだ。
OSはWindows 8.1なので、当然タッチでの利用は快適に行える。画面サイズが大きいおかげで、横置きだとソフトウェアキーボードもフルサイズキーボードに近いサイズで表示され、タブレット単体での文字入力も比較的快適だった。もちろん、縦表示での利用にも対応している。
タッチ機能は10点タッチに対応。指先でのタッチは指滑りもよく、扱いやすい。フルHD対応だけにコントロールパネルのメニューなどは細かな文字で表示されるが、これも無理なく操作できた。
筆圧対応のペンも付属
操作用のツールとして、ペンも用意されている。本体横のスロットに収納できるようになっており、簡単に引き出し可能だ。ペンの側面にはボタンがついており、これがマウスの右クリックボタンの役割を果たす。指先での操作と同じく、ロングタップしてから離した時にも右クリックメニューの表示は可能だが、タッチ特有のこうした操作が苦手だったり、ロングタップして待つ時間が惜しいというようなユーザーはペンを使うとより気持ちよく使えるようになるだろう。
ディスプレーの表面は傷や衝撃に強い高強度ガラスDragontrailを採用しており、ペンで普通に紙に書く程度の強さで使う分には傷の心配はいらない。ペン先の滑りもよく、手書き文字入力に使うのもよいだろう。
ペンは1024段階の筆圧表現に対応する防滴ペンだから、単純に指先のかわりに使うタッチ操作ツール等に利用するだけでなく、筆圧感知機能を持ったグラフィックスアプリケーション等と組み合わせれば絵を描いたり、フォトレタッチをしたりといったことにも活躍させられる。
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