Alpha Customer以外のベンダーは
リファレンスボードを参考に製作
スマートフォンベンダーはリファレンスボードの設計を参考にしながら、自社製品の設計を開始することになる。当然ここでも設計にまつわるさまざまなトレードオフが発生する。
例えばリファレンスボードは設計及びデバッグを容易にするため、比較的ゆったりした基板に実装するが、最終製品はギリギリに詰めた構成になるわけで、配線の取り回しが変わってくる。すると、リファレンスボードではあまり問題にならなかった信号配線によるノイズが大きくなる。誤動作だけでなく、ノイズレベルが各国の基準を上回る、なんてケースも大問題になる。
また、リファレンスボードで使われている部品は高価なので、別のものに換えたら動きが変になったとか、こちらも問題百出である。ある程度のものは基板と回路レベルで対応できるが、中にはSoCへの修正要求が出ることもある。場合によってはこうした対応も必要になってくる。SoCの量産出荷から1年間は、なんだかんだで対応に手がかかる時期が続くのが一般的であろう。
こう考えると、ずいぶんSoCは儲かりにくいものだなというのがおわかりかと思う。それでも昔は、SoCというのはそう悪い商売ではなかった。
というのは一度量産を始めると、その製品が3~5年、どうかすると10年を超えて使われることが珍しくなかったからだ。数量そのものはピークよりずっと下がるだろうが、合計するとそれなりに儲かるというビジネスだ。
PC向けのCPUは、せいぜい製品寿命が1年くらいだから、毎年新しい製品を出し続けないと売り上げが立たないのに対し、SoCは向こう10年くらいの売り上げがある程度保障されているわけで、いくつかのSoCのラインナップを用意しておけば、それで十分商売になっていたわけだ。
ただ最近は携帯電話そのもののライフサイクルが極端に短くなったこともあり、SoCそのものも長期に使われなくなりつつある。ややPCのビジネスモデルに近くなってきたわけだ。そういうこともあり、SoCから次第に撤退するベンダーが増えてきたのも無理のないところである。
※次回更新は2014年1月13日になります。
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