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業界人の《ことば》から 第70回

日立が推し進める、成長戦略

駆逐艦の集まりから、空母を中心にした艦隊へ

2013年12月16日 09時00分更新

文● 大河原克行

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駆逐艦の集まりから、空母を中心とした艦隊に

 齊藤社長は、今年度から日立製作所の情報・通信システム事業を担当しているが、「私がこれまで担当していた日立のインフラ事業は、駆逐艦の集まりという印象があった」と前置きし、それぞれが独立した形で事業を展開していたことを示しながら、「これに対して、情報・通信システム事業は、空母を中心に艦隊を組んでいるようなものだ。空母となるのは、日立データシステムズ(HDS)と日立コンサルティング。HDSを中心に事業を展開する体制を構築し、ここに、コンサルティングの力を組み合わせることができ、さらにグループ会社の力も活用できる。これはまさに連合艦隊のようなもの」と表現する。

 「今後、トランスフォーメーションを推進するなかで、これが明確な形になってくるだろう。2015年度の10%の営業利益率に向けて、形が整いつつある」と自信をみせる。

不採算案件の撲滅

 課題は、不採算案件の撲滅だ。ここ数年、日立の情報・通信システム事業の収益を苦しめてきたのは、不採算案件であったともいえる。

 「不採算案件は、今年度でほぼ収束の方向に向かうと見ており、見通し達成に向けて、ほぼ計画通りに推移している」とする。

 「日立の提案力が弱い、あるいは新たな技術への追随力が弱いということが原因となって、システム構築の途中に混乱を来すといったたことが発生してきた。日立と顧客が一緒になって作り上げていくということを、プロジェクトのなかに組み込む必要がある」と、今後の不採算案件撲滅に向けた基本的姿勢を示す。

 プロジェクトマネジメントの強化により、上流工程の改善により、契約やサービス内容の曖昧性を排除。新分野や新技術にも対応した品質管理エキスパートの高度化に取り組むことで、システム構築サービスの高収益化を目指すという。

 財務基盤強化としては、通称・スマトラと呼ぶ「Hitachi Smart Transformation Project」の効果により、2013年度から2015年までの累計で530億円のコスト低減を図る計画で、これも利益改善につながることになる。

 体質強化を図りながら、成長戦略を描くのが日立の情報・通信システム社の戦略。「営業利益率10%が前提。まずは最優先でそこまで持って行く」と、齊藤裕社長は意気込む。グローバルプレーヤーに向けた大きな一歩を踏み出した。

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