今回のことば
「当社の情報・通信システムは、日立データシステムズおよび日立コンサルティングを核に、サービス、コンサルティングを展開できる。これはまさに連合艦隊のようなもの」
(日立製作所 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社・齊藤裕社長)
日立製作所は、情報・通信システム事業において、2015年度には売上高で2兆1000億円、営業利益では2100億円の売り上げ計画を掲げている。
2013年度通期見通しは、売上高が前年比4%増の1兆8600億円と、先頃、上方修正。営業利益は153億円増の1200億円を見込んでいる。
2013年度見通しをベースにすれば、意欲的な目標であることは間違いない。営業利益では、2008年度に達成した1766億円が過去最高。2015年度の計画は、それを上回る目標となる。
日立製作所 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社・齊藤裕社長は、「2000億円以上の営業利益を確保する規模でなくては、グローバルでは生き残れない。10%の営業利益が出ないと一人前ではない」とし、グローバルビジネスを強く意識した中期計画を掲げる。
実際、海外売上高比率は、2012年度実績の26%を35%に、サービス売上高比率は、現在60%の実績を、65%以上へと高める考えだ。
齊藤社長は、「グローバルメジャープレーヤーを目指す」と宣言する。
その一手のなかには、M&Aも含まれる。
「過去3年間で約900億円のM&Aを行っており、2015年度には売上高で1900億円の貢献があると見込まれる。今後もM&A資金として、年間500億円程度を捻出したい」との考えも示す。
ソリューション提案力強化をチャレンジのひとつに
だが、成長の原動力は、当然のことながら現有体制をベースにした戦略ということになる。
齊藤社長は、成長の柱となるグローバル事業の拡大については、「ITサービス基盤強化」、「ソリューション提案力強化」の2つが鍵だとする。
ITサービス基盤強化では、日立データシステムズを核に、ソフトおよびITサービスで高付加価値化を図るものであり、日立が得意とする従来型のビジネスモデルを中心としたものだ。
データを高付加価値化する先進ソリューションの提供、サービスを簡単に導入するための統合プラットフォームソリューションの事業拡大に取り組み、プラットフォームにソリューションを組み合わせた提案となる。
具体的には、統合プラットフォームソリューションとして、ストレージクラウドサービスの「Hitachi Cloud Services」、50PBを超えるデータを運用中の「マネージドサービス」、コンテンツアーカイブソリューションの「Hitachi Content Platform Anyware」、プライベートクラウド用統合プラットフォームの「Hitachi Unified Compute Platform」のラインアップ拡充などがある。
中期的には、番号制度や年金制度対応といった国内での大型案件も、ここに上乗せされることになろう。
一方で、ソリューション提案力強化は、日立が取り組む新たな挑戦だともいえる。
ここでは、日立コンサルティング(HCC)を核に、社会イノベーション事業の拡大を目指すというもので、そのほかにも、2013年11月に買収した、インドのプリズムペイメントサービスにより、インドにおけるATMやカード決済端末の提供から運用サービスまでを含めた包括的なペイメントサービスをワンストップで提供するといった取り組みなどが加わる。
「日本や中国市場においては、ATMでトップシェアを持つ強みも生かして、金融チャネルソリューションの展開に力を注いでいくことになる」と具体的にビジネスの仕組みを示してみせる。
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