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世界最大のベンチャーが目指すソリューションベンダーへの道

デル郡社長が語る「顧客が求める自動化やオープン化に強み」

2013年12月18日 06時00分更新

文● 末岡洋子

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“PCのデル”もちろん健在!

 このようにエンタープライズ側での取り組みが進む一方で、“PCのデル”も健在だ。ここではこの秋、タブレットライン「Venue」の下でWindows 8.1ベースの「Venue11 Pro」など2機種、Androidタブレット2機種、ビジネス向け「XPS」ラインではノートPCでもタブレットとしても使える2in1型の「XPS 11」を発表した。ノートPCではDell Worldで初めて「Chrome OS」を搭載した「Dell Chromebook 11」を発表した。教育向けのノートPCと位置づけており、2014年初めに英国と米国で投入する。ちなみに日本では現在発売の予定はない。

Chrome OSを搭載したDell Chromebook 11

 「新規顧客の3分の2がPCが入り口になっている。そういう意味では、PCは重要なビジネスだ」「PCからデルを知ってもらい、違ったソリューションを紹介する」と郡氏はエンタープライズ事業におけるPCの重要性を説明する。なおWindowsタブレットは現在、タブレット市場においてシェアが低いが、ビジネスではWindowsタブレットになるだろうという予想も明かす。「“他のOSのタブレットを使ってみて改めて管理の大変さがわかった””少しでも早くWindowsタブレットを検討したい”などの声を聞いている。また、現在のラインナップなら選択肢に値するとみていただける顧客も増えている。Windowsのシェアはこれから増えるだろう」(郡氏)。

直販というアイデンティティにこだわらない

 ソリューションベンダーというイメージが潜在顧客にどれだけ伝わっているのか。定期的な調査から「ソリューションベンダーとしての認知が1、2番目の上昇率で高まっている」と郡氏はいう。たとえば毎年初夏に全国で展開するソリューションロードショーでは、「数年前ならデルはソリューションベンダーだと伝えていたが、今年は具体的にどんなソリューションがあるのかを見に来たというお客様が増えた」と成果を示した。

 このようにエンタープライズベンダーへの過程にあるデルだが、直販という最初のアイデンティティーにこだわりはないようだ。すでにパートナー経由の間接販売は同社の法人向け売上げの3割を占めるまで拡大しており、今後もっと増やしていきたいという。「直販でリーチできるのは2~3割程度。リーチしてはじめてわれわれの強みを説明できる(のでリーチは重要)。残りの7~8割にリーチするのに間接販売が必要だし、間接販売によりデルの強みが薄れるとは思っていない」と郡氏。「顧客に近いところにいると言う点で直販の重要性はつねにある」と顧客中心の姿勢を強調しながらも、就任以来「直販のデルというブランドを作ってきたつもりはない」と言い切った。

日本からは3人のロックスターが参加

 ソリューションを伝える窓口の1つとなっているのが、ソーシャルメディアの取り組みである「テックセンター」だ。ブログ、フォーラム、Wiki、動画などのメディアギャラリーを含むもので、デルのソリューションや製品を効果的に使うための情報を、デルとデルを使っている外部のエンジニアや研究者らが発信していくというものだ。

 日本では2010年秋にスタートし、現在社内外で約20人のブロガーが常時情報を発信している。1日あたりで約1500人の訪問者数があるという。貢献度の大きなブロガーは“ロックスター”というタイトルをもらえるが、今年のDell Worldには3人のロックスターが日本から参加した。

デルテックセンターを盛り上げるロックスター。左から東京大学情報基盤センター准教授関谷勇司氏、日立ソリューションズ 技術開発本部オープンソース技術開発センタ・センタ長の吉田行男氏、ダイトエレクトロン Eatonセールスマネージャーの木村正仁氏

 その1人、木村正仁氏はダイトエレクトロンのEatonセールスマネージャー。Dell UPSの使い方や選び方、付属の管理ツールの使い方などについて、プリセールス的なブログ記事を書いている。これまでUPSのマニュアルが分かりにくく、詳しい資料がなかったこともあり、「デル社内の人を含めかなりのフィードバックをもらえた」と手応えを語る。このほか、WIDEプロジェクトボードメンバーの関谷勇司氏(東京大学情報基盤センター准教授)、日立ソリューションズの吉田行男氏(技術開発本部オープンソース技術開発センタ・センタ長)が世界に40人以上いる他のロックスターとDell Worldで交流したという。

■関連サイト

記事内のテックセンターの訪問者数に誤りがありました。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2013年12月19日)

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