このページの本文へ

MP3から卒業!? ハイレゾ音源環境を構築する! 第1回

まもなく「Winamp」が提供終了! MP3全盛期を振り返る

2013年12月17日 12時00分更新

文● 外村克也

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

1999年、MP3プレーヤー/エンコーダーが大ブレーク!

 1999年の3月号で月刊アスキーがMP3の特集を組んでいたが、その頃のMP3業界はめちゃくちゃ熱かった。

 記事ではCD→MP3リッピングに関して、何が合法で、何が違法か、なんて解説も掲載されていた。当時はCDから一度非圧縮のデータを取り出し、エンコーダーソフトを使ってMP3に変換するなど少し手間がかかる方法だったが、1999年頃からCDからダイレクトにリッピングできる有料のソフトが増えはじめた。

1999年当時は筆者も愛用していたノバックの「MP3 Jet-Audio」(7800円)。リッピングから、楽曲の管理および再生までカバーする統合ソフトだ

1999年当時は筆者も愛用していたノバックの「MP3 Jet-Audio」(7800円)。リッピングから、楽曲の管理および再生までカバーする統合ソフトだ

住友金属システムの「MP3 JUKEBOX」(8800円)。1999年当時のバージョンでは、MP3の再生やWAVファイルからの変換が行なえた。MP3 Jet-Audioと人気を二分していた(ように記憶している)

住友金属システムの「MP3 JUKEBOX」(8800円)。1999年当時のバージョンでは、MP3の再生やWAVファイルからの変換が行なえた。MP3 Jet-Audioと人気を二分していた(ように記憶している)

 ノバックの「MP3 Jet-Audio」(7800円)や、住友金属システム開発の「MP3 JUKEBOX」(8800円)など、数々のソフトが出回ったが、エンコーダー部分の違いで音質にかなりの差異があった。

 中でも、高音質のエンコーダーとして定評があったのが、Fraunhofer-Gesellschaftのエンコードエンジンを搭載した製品。当時のエンコーダーで耳障りだった高音域のフランジノイズが、128Kbps以上のビットレートほとんど聞こえなくなるなど、音質面での評価が高かった。

 しかしながら、Fraunhoferのエンコードエンジンは利用するにあたってライセンス料が必要だったため、限られたソフトでしか利用できなかった。ちなみに、iTunesでもFraunhoferのエンコーダーを採用している時期があった。

 一方、フリーライセンスのMP3エンコーダーでも、特にユーザーが多かったのが「LAME」と「午後のこーだ」だ。

 LAMEは無償利用できるエンコーダーの中でも音質が高く、筆者の環境では今もなお現役で活躍している。Windowsに限らず、MacやLinuxでも利用できる汎用性と音質の高さから、現在のリッピングツールのほとんどはLAME前提に作られていると言っていいほどだ。

 午後のこーだは変換速度が速く、非力なPCで大量の曲をエンコードする際に重宝した。現在でも配布は続いているが、OSのサポートはXPまでで止まっている。

MP3再生の定番的存在だった「Winamp」

シンプルなインターフェースのWinamp。 1999年当時の(左)と、2013年11月に配信された最終版(右)では、ほとんどデザインが変わっていないが、再生可能なフォーマットが増加していたり、動画の再生をサポートしていたりと内部的には大きく進化している

 Windows Me以前、MP3はOS標準で再生がサポートされておらず、コーデックや専用のプレーヤーソフトを入れる必要があった。

 余談だが、現在のハイレゾ音源――FLACなどもWinodws標準の状態では再生できず、別途コーデックや再生ソフトの導入が必要となる。このあたりは次回、次々回で紹介していくが、歴史は繰り返される感があって面白い。

 さて、そんな環境で重宝していたメディアプレーヤーが「Winamp」だ。MP3の再生にいちはやく対応したほか、MMX(Pentiumプロセッサー向けの拡張命令セット)にも対応。動作が比較的軽く、筆者のような非力なPCしか持たなかったユーザーでもMP3の再生ができたため、大変世話になった。

 公開当初(1997年)から現在にいたるまで、バージョンアップのたびに動画の再生やライブラリーの管理といった機能が追加されてきたものの、メインのインターフェースはほとんど変更されず、コンパクトで使いやすいプレーヤーとして愛用してきた。

 そんなWinAmpだが、前述のとおり12月20日で提供終了となる。現在無料の「Standard版」は最新版の5.666が公開されているが、すでに有料の「Pro版」は提供を終了しているらしく、サイトにアクセスしても「Winamp Pro Store not available」と表示されるのみ。

 また、Android版についても現在はFree版のみが提供され、Pro版へのアップグレードができない状態となっている。いずれにせよ、Winampを使いたいと考えているなら早めにダウンロードしたほうがいいだろう。

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中