1999年、MP3プレーヤー/エンコーダーが大ブレーク!
1999年の3月号で月刊アスキーがMP3の特集を組んでいたが、その頃のMP3業界はめちゃくちゃ熱かった。
記事ではCD→MP3リッピングに関して、何が合法で、何が違法か、なんて解説も掲載されていた。当時はCDから一度非圧縮のデータを取り出し、エンコーダーソフトを使ってMP3に変換するなど少し手間がかかる方法だったが、1999年頃からCDからダイレクトにリッピングできる有料のソフトが増えはじめた。
ノバックの「MP3 Jet-Audio」(7800円)や、住友金属システム開発の「MP3 JUKEBOX」(8800円)など、数々のソフトが出回ったが、エンコーダー部分の違いで音質にかなりの差異があった。
中でも、高音質のエンコーダーとして定評があったのが、Fraunhofer-Gesellschaftのエンコードエンジンを搭載した製品。当時のエンコーダーで耳障りだった高音域のフランジノイズが、128Kbps以上のビットレートほとんど聞こえなくなるなど、音質面での評価が高かった。
しかしながら、Fraunhoferのエンコードエンジンは利用するにあたってライセンス料が必要だったため、限られたソフトでしか利用できなかった。ちなみに、iTunesでもFraunhoferのエンコーダーを採用している時期があった。
一方、フリーライセンスのMP3エンコーダーでも、特にユーザーが多かったのが「LAME」と「午後のこーだ」だ。
LAMEは無償利用できるエンコーダーの中でも音質が高く、筆者の環境では今もなお現役で活躍している。Windowsに限らず、MacやLinuxでも利用できる汎用性と音質の高さから、現在のリッピングツールのほとんどはLAME前提に作られていると言っていいほどだ。
午後のこーだは変換速度が速く、非力なPCで大量の曲をエンコードする際に重宝した。現在でも配布は続いているが、OSのサポートはXPまでで止まっている。
MP3再生の定番的存在だった「Winamp」
Windows Me以前、MP3はOS標準で再生がサポートされておらず、コーデックや専用のプレーヤーソフトを入れる必要があった。
余談だが、現在のハイレゾ音源――FLACなどもWinodws標準の状態では再生できず、別途コーデックや再生ソフトの導入が必要となる。このあたりは次回、次々回で紹介していくが、歴史は繰り返される感があって面白い。
さて、そんな環境で重宝していたメディアプレーヤーが「Winamp」だ。MP3の再生にいちはやく対応したほか、MMX(Pentiumプロセッサー向けの拡張命令セット)にも対応。動作が比較的軽く、筆者のような非力なPCしか持たなかったユーザーでもMP3の再生ができたため、大変世話になった。
公開当初(1997年)から現在にいたるまで、バージョンアップのたびに動画の再生やライブラリーの管理といった機能が追加されてきたものの、メインのインターフェースはほとんど変更されず、コンパクトで使いやすいプレーヤーとして愛用してきた。
そんなWinAmpだが、前述のとおり12月20日で提供終了となる。現在無料の「Standard版」は最新版の5.666が公開されているが、すでに有料の「Pro版」は提供を終了しているらしく、サイトにアクセスしても「Winamp Pro Store not available」と表示されるのみ。
また、Android版についても現在はFree版のみが提供され、Pro版へのアップグレードができない状態となっている。いずれにせよ、Winampを使いたいと考えているなら早めにダウンロードしたほうがいいだろう。
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