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TLCチップの本領発揮!

mSATAで1TBを達成したSamsung 840 EVO mSATAの実力は?

文●橋本 新義

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SSD Magicianにも対応
注目のRAPIDモード結果は?

 さて、840 EVOの性能で注目できるのは、本体のみよりも、Samsung製SSDのユーティリティー「Samsung SSD Magician」と組み合わせて使える「RAPIDモード」だろう。これはメインメモリーの一部を命令+データキューの一種として使う高速化機能で、2.5インチでの上位モデル840 Proでも使えないものだ。

840 EVOと合わせて導入したい、SSD Magician。RAPIDモードを使わない場合でも、便利なメンテナンスや状態監視ツールとして使える

RAPIDモードの有効・無効化はワンタッチで設定可能。使用の可否はCPUやメインメモリー容量にも制限されるが、それらが画面に表示されるのも親切だ

 さて、RAPIDモードを有効にした状態でのCrysitalDiskMarkを見ていこう。なんといっても注目はシーケンシャルアクセスの結果。リードでは988.9MB/秒、シーケンシャルライトは1117MB/秒と、2.5インチ版登場時話題になった“最高1TB/秒オーバー”を達成。4Kランダムリード(QD=1)でも56.03GB/秒、同ライトでは314.4GB/秒と、非常に素晴らしい結果となっている。

RAPIDモードもほぼ2.5インチ版と同等と言えそうだ。なお連続して計測した最悪値として、シーケンシャルリードが522.7MB/秒にまで落ち込んだこともあったが、このあたりの挙動も2.5インチ版と似たものだった

 続いてPCMark 7では、総合スコアが「6003」と驚きの6000オーバーに。RAWスコアはなんと「15808」となった。RAPIDモードはもともと、ベンチマーク的な超連続アクセスに対して得意なように作られてはいるものの(実際の使用感で性能が出ない、という意味ではない)、この結果は驚きだ。そしてもはやお約束的になってきたが、やはり2.5インチ版ともスコアの傾向は変わらない。

RAWスコアの詳細結果を見ていくと、軒並み200~300MB/秒台のスコアが出ている。そしてここまでではないが、実際の使用感も向上するのがRAPIDモードのすごいところだ

 最後に、実際の使用時で意外と重要な、SSDユーティリティでS.M.A.R.T.値が取得できるのかを確認したい。ひよひよ氏作「CrysitalDiskInfo 6.0.4」を実行してみたところ、主要データは一通り適正と思われるデータを返している。

CrysitalDiskInfoでの情報表示。こういったところも2.5インチ版と同じと見ていいようだ

 ここまで見ていただければ、最初に触れた2.5インチ版と(いい意味で)変わらず、現時点での高速SSDとして立派な性能だ、という点がおわかりいただけるのではないだろうか。

1TB版は本当の意味で
TLCならではの製品に

 さて、簡単に実際の使用感について解説したい。RAPIDモードを使わないときでさえもストレスなく使えるレベルだが、大容量ファイルや多数のファイルを扱う局面では、RAPIDモードをオンにすると着実に1ランク速度アップする……と、こちらも困ったことに2.5インチ版といい意味で変わりない。

 まさにmSATA版は、2.5インチ版をそのまま小型化したという印象で使える製品なのだ。ある意味で、シリーズ名が変わらないのも納得できる。

まさにmSATA版は、2.5インチ版をそのまま小型化したという印象

 個人的に注目したいのは、シリーズの最大容量モデルとして1TB版が用意されたこと。というのも、実はmSATAサイズで1TBを達成するには、TLCチップでなければ実現できない芸当なのである。

 mSATAの基板は小さいため、4チップで1TB(つまり1個で約250GB)のフラッシュメモリー(NAND)チップを搭載する必要があるわけだが、この“1チップ250GB”をMLCで実現するには、技術的な問題でほぼ実現不可能だからだ。

 その意味で、mSATA版は、2.5インチ版とは違い、まさに“TLCチップを使わなければ作れなかった”製品なのである。「UltrabookやNUCに大容量SSDを搭載したいが、そもそも製品がないため不可能だった」というユーザーにとっては、まさに福音となる製品なのである。

 そしてもう1つ注目したいのがパッケージだ。他社から発売されているmSATA版SSDは、流通量の問題からか、正規流通品であってもバルク版的な簡易パッケージのものが多い。

mSATAのパッケージといえば、バルク版的な簡易パッケージが主流

 この840 EVOはしっかりした専用の化粧箱が用意されており、慣れていないユーザーも安心感のある製品となっている(初心者が簡易包装箱に抱く敷居の高さは、意外とバカにできないのだ)。

こちらはパッケージ。従来のmSATA版SSDはブリスターパッケージなどの簡易包装でしか販売されなかったが、840 EVOでは2.5インチ版と同じくパッケージが仕立てられている

 このように、840 EVO mSATAは、性能の点でも容量の点でも、従来のmSATA SSDと比べて十二分な競争力を持った製品となっている。

 そしてそれだけに、性能だけでなく価格もぜひぜひ“2.5インチ版並”を期待したい。もしそれが実現できれば、大ヒットどころか、NUCなどの超小型PCキットの売れ行きにも大きな影響を与える製品になるだろう。

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