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ジョブマッチングの裏側で従業員の不正行為予測が始まる。

2013年12月13日 07時54分更新

文● 松下 康之/アスキークラウド

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 人材と仕事をマッチングするのにビッグデータを使う企業は、社員の不正行為も予測出来るのかもしれない。とあるニュースからそんなことを考えてみた。

 TechCrunchに掲載された以下の記事は、Spire TechnologiesというインドはバンガロールにあるIT企業が8百万ドルを投資として獲得した、というニュースだ。

Spire Raises $8M In Series A To Help Customers Manage Talent, Prevent Employee Fraud
http://techcrunch.com/2013/12/11/spire-raises-8m-in-series-a-to-help-customers-manage-talent-prevent-employee-fraud/

 ここでは以下の一行に注目してみたい。

”Jain said that one of the key differentiators for Spire is that its solution can be used to not just recruit fresh talent, but also in detecting and preventing employee frauds, CRM and market intelligence. ”

 つまり「Spireの創業者であるジャイン氏は、Spireのソリューションが人材を獲得するだけではなく、従業員の不正行為を検知することに使える」のだという。

  この企業の売りは、非構造化データをビッグデータとして扱い、ある仕事に必要な要件と人材に関する情報をマッチングし、採用に必要な工数を劇的に減らすことが出来ることであるという。具体的に言えばレジュメに書かれている経歴や職歴などを分析し、その要件にマッチする人材を探し当てるコンテキストサーチ機能であるようだ。

 しかしその裏側で同じ技術を使い、採用した社員のメールやSMS、業績評価などの非構造化データからその従業員が次に不正行為を働くのかを予測出来るとすれば、これまでの人事部門にとっては夢の様な機能かもしれない。

 現存する従業員の不正行為防止のソリューションは主に監視と教育がメインとなり、会計監査や情報へのアクセス制限システムの一環として捉えられてきた。つまりリスク回避のアプローチと考えるのが当たり前だった。その投資を採用や異動のためのマッチングシステムの付加価値として「いつ誰が不正を行うのか?」に回せるのであれば、企業にとっては一石二鳥だろう。常に従業員から発せられるデータを分析し、最適な仕事に就かせることも出来れば、悪い行いを予測して防ぐことが出来るのであるとするならば。

 実際にはソフトウェア開発などの技術者を年間数百人規模で採用するほどの規模が無ければビッグデータとしては活用は難しいだろうが、インドのようにIT部門のアウトソース先として特化した土地であればこのようなシステムは妥当なのかもしれない。

 新卒学生からの大量のエントリーシートの処理に悩んでいる企業は、すでに同じようなソリューションに注目している可能性もあるだろう。なにしろSpireの事例によれば大幅に採用のための労力を削減できるのだから。

 ビッグデータは様々な分野でその効果を示し始めているが、必ずしもモノを売るためだけではない別の可能性を示してくれるニュースであろう。

参考リンク Spire Technologies:http://www.spire2grow.com/main/

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