スタンダード機を買うならDLPに注目!
そして、お値打ちの1台を選ぶとすれば?
小林 「現在は液晶プロジェクターを使っているけど、ずいぶん前に購入したこともあって、スペック的にも不満がたくさんあります。テレビのようなくっきりとした映像が欲しいですし、フルHDで3Dにも対応していてほしい。そんなユーザーも多いのでは?」
鳥居 「プロジェクターがテレビに比べるとぼんやりとした映像に感じがちなのは、輝度パワーやコントラストが不足しているためです。液晶プロジェクターは液晶テレビ同様、コントラストを稼ぐのが難しい。
ですが、DLPプロジェクターならばDMD(デジタル・ミラー・デバイス)という表示素子のおかげで、高いコントラストを実現しています。ちなみに、最新の映画館に増えているデジタル上映機方式のシアターで使われている映写機の多くも、DLP方式なんですよ」
小林 「そもそもDLP方式というのは、どんな仕組みなのですか?」
鳥居 「DMD素子は画素の数だけ可動する細かい鏡を備えたもので、この鏡がランプの光を反射する/反射しないことで明暗を表現します」
今回の撮影場所は鳥居氏の新居!
のっけから豪華なAVルームが登場しているが、これは今年完成した鳥居一豊氏の新居。事実上の仕事部屋であり、息抜きにMMORPGをプレイする場でもある(笑)。部屋の隅には自作PCも見えるが、これはハイレゾ音源再生などの用途に使っているのだそう。
小林 「色はどうやって、表示するのでしょうか?」
鳥居 「光源の前にカラーホイールがあり、一定の時間ごとに赤/緑/青の光が投射されるようになっています。1フレーム(1/60秒)のさらに3倍の速度でカラーホイールが回転し、次々に赤/緑/青の映像を映し出して人間の目にはフルカラーの映像に見えるわけです」
小林 「それって、目の良い人だと、赤だけの光が見えてしまうことはないんですか?」
鳥居 「初期のDLPプロジェクターは、表示速度が遅いため、瞬きをしたり頭を素早く動かすと赤色だけが見えてしまうような、カラーブレイキング(色割れ)という現象が確かにありました。しかし現在はDMD素子の表示速度も向上し、カラーブレイキングの影響はほとんどありません。
DLP方式は映画館用のデジタルシネマ向けの技術からスタートしたので、当初は高価でした。でも、今や表示素子の価格も安くなり、表示速度の高速化でカラーブレイキングもなくなったため、かなり安価なモデルが登場しているのです。特に高輝度で高コントラストな特徴があるので、データ用プロジェクターとしてじつはかなり普及しています」
小林 「高輝度、高コントラストはかなりありがたいですね」
鳥居 「ちなみに、液晶にくらべて画素と画素のすき間が狭く、近くで見てもマスク状の格子が目立たないこと、原理的に焼き付きが発生しないのでPCの映像表示用としても安心して使えることなどの特徴もあります。もちろん表示解像度はフルHDで、3Dにも対応できます。もっともこれは、現在のプロジェクターならば当たり前のことですが」
引き締まった映像はアニメとの相性◎
小林 「では、さっそく映像を見てみましょう」
鳥居 「DLPプロジェクターで、僕がおすすめしたいのがBenQの『W1070V2』。実売価格はおよそ8万円後半と安価ですが、画質の点ではミドルクラスにも迫る実力のモデルです。ボディもコンパクトですから、手前のテーブルなどにポンと置いてすぐに映像が表示できます」
小林 「上下のレンズシフトがあるので、設置場所の制限が緩くなるのはいいですね」
鳥居 「そして、設置用の脚部が高さを調整できるので、ここで画面が歪みなく映るように水平にします。120インチのスクリーンに投射すると、投射距離はおよそ3mちょっとになりますね」
小林 「うちのリビングは約8畳ですから、投射距離は十分です。余裕で100インチの特大画面が実現できるわけですね」