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実態が「リンク販売」だった有料審査型ディレクトリ登録サービスの終焉

文●渡辺隆広/SEMリサーチ

2013年12月09日 14時36分更新

記事提供:SEMリサーチ

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実態が「リンク販売」だった有料審査型ディレクトリ登録サービスの終焉

SEO寄りの有料審査型ディレクトリ登録サービスは、ビジネスモデルとして終焉を迎えつつあるわけですが、このあたりの背景や事情についてちょっと初心者向けに解説する必要があったので、文章化してみました。あまり初心者向けではないのですが、歴史的流れと意義について簡単に。

【要約】 リンク販売を合法的に推し進めることを狙いに設立されたディレクトリサイト及び有料審査型登録サービスは、最初から寿命がほぼないことわかっていたけどよく3年間も持ちました。でもやはり、Googleのガイドラインとの絡みを考えるとビジネス継続はなかなか難しい課題が山積みなのではないでしょうか。

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有料審査型ディレクトリ登録サービス:特に2010年前後から日本国内で急増してきたビジネスモデル。インターネット上のサイトをテーマやジャンル別に分類したリンク集を用意し、このディレクトリへの掲載を希望する個人や企業を募る。掲載料ではなく「審査料」という名目で料金を請求し、審査を通過したサイトをこのリンク集に掲載する仕組み。古くはYahoo!ビジネスエクスプレスがあるが、本稿では特に"2010年前後"に立ちあがった、SEOを念頭においた設計を特色とするサービスを中心に述べている。

有料審査型ディレクトリを提供する企業が増加した背景には、Googleの定めるガイドラインに抵触せずに実質有償でリンクを販売(あるいは購入)できる点にあった。一般的に、金銭を対価としてリンク設置を行う行為は、「有料リンク」(Paid Link)と呼ばれ、金銭で検索順位を操作することにつながるためにGoogleはガイドラインで禁止している。

ディレクトリへの掲載とはリンク集に相手先サイトへのリンク及び紹介文を掲載する行為であり、仮に掲載料として請求すれば実質的な有料リンクに該当するためにGoogleガイドラインに違反になると判断される。しかし、掲載のための『審査』に対して請求するという形式をとると共に審査基準に違反したサイトは掲載しないというルールを設ければ、ディレクトリ提供会社が選択的にサイトを掲載していることになり、ガイドライン違反にはならないという解釈ができるからだ。

実際、日米のYahoo!カテゴリ(ディレクトリ)は、両社ともに有償審査でサイト掲載を決定するサービスを有しているが、Googleからガイドライン違反を指摘された記録はない。

つまり、『ヤフー社のサービスと同等の体裁を整えれば、合法的にリンクを販売できる』こと目をつけた日本の会社が次々とディレクトリを構築し、SEOの効果があることを謳い文句にサイト掲載サービス(≒リンク販売サービス)を立ち上げた。こうした会社は、ユーザーの検索行動を支援する理念を持ってディレクトリを作成したのではなく、これまで述べてきたとおり、SEO効果のあるリンクが欲しい企業を標的にリンクを販売することを主たる目的として運営してきた。設計思想はSEOのリンク販売にあるため、サービス内容もそちらを強く意識した仕様となる。例えば、実質的にサイトの審査を行わない、お金さえ徴収すればサイトを掲載する、アンカーテキストは比較的自由に設定できる、PageRankが高いなど、検索利用者ではなく広告主の方に目を向けた設計となっている。

このような、インターネット利用者のことを全く考えていないディレクトリを、Googleが認めるはずがないのは容易に想像できることである。事実、Googleは2010年以前から、たとえ審査費用という名目で料金を請求する体裁を整えているディレクトリであっても、その運用実態が実質的に有料リンクであると判断できるケースではガイドライン違反の指摘を行っていた。事実、米国を中心とした海外では(日本で同ビジネスが流行る前に)一部の悪質なディレクトリ運営サイトのPageRankを下げたりGoogleインデックスから排除するなどのウェブスパム対策を実施していた。

日本では2010年あたりから増加し始めたSEOのための有料審査型ディレクトリ登録サービスであるが、海外ではそれ以前から「終わっていた」のであり、海外事情に精通していればビジネスモデルとして適切でないことは容易に理解できたはずである。にもかかわらず何故、日本で増加したのか。幸か不幸か、少なくとも2010、2011年の段階において、日本国内における有料審査型ディレクトリサービスに対するGoogleの審査は厳しいものではなかったためだ。だからこそ3年あまりは事業として運用可能だったわけだが、Googleが日本国内でも厳しく対応を始めたことで終焉を迎えようとしている。

もちろん、Googleガイドラインを遵守する、すなわち掲載サイトへの発リンクにnofollowを付与することで引き続きディレクトリを運用することは可能であるが、先述した通りこれらの会社の真の目的、あるいは顧客が真に求めているものはSEO的に効果のある直リンクであり、nofollowが付与されるのであれば誰もお金は払わない。Googleガイドラインを遵守するなら売上が立たないのでビジネスとして成立せず事業継続の意味がないのである。あるいは、高品質なディレクトリを構築する道も選べるが、Googleが実質的に市場支配している検索市場に今更勝負をかけることは賢明ではないだろう。

なお、Googleは有償の審査で持ってサイト掲載を行うディレクトリを否定しているわけではない。適切な運用が行われている、つまりインターネット利用者の方を向いて、検索サイトとしてのディレクトリを適切に運用管理しているディレクトリサイトについては何も文句もいわなければガイドライン違反など指摘はしていない。今回問題になった有料審査型ディレクトリは、利用者ではなく広告主の方を向いて、リンクをできるだけ販売するためのサービス、そのための運用に陥っていたディレクトリである。

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地方に行くと、「Yahoo!カテゴリに掲載されていること自体に価値がある」というケースを目にするので、別にnofollowがついたっていいじゃん、という考えもあるわけで、だからディレクトリ運営を続けるという選択肢もありといえばありなんですが、まぁ、現実的にいろいろと難しいですよね。nofollowがつくリンクに3万円払って下さいといわれても、私なら迷わず「ヤダ」といいますもん。。

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