EMCジャパンは、同社がグローバル企業と官公庁を対象としたIT戦略とインフラに関する調査である「Global IT Trust Curve Survay(世界ITトラスト曲線調査)」を発表した。この中で、調査対象となった16カ国のうち、日本はIT成熟度が最下位という結果になったという。
役員は自社のITの信頼性に大きな疑問を感じる
今回の調査は、同社が重視する「TRUST(信頼性)」にフォーカスした内容になる。具体的には、成熟度の柱として、TRUSTを構成する「継続的な可用性」「高度なセキュリティ」「統合されたバックアップ/リカバリ」について、世界16カ国10業種で聞き取りを行なった。対象となる3200名のうち、IT部門の意思決定者とビジネス部門の意思決定者が半々になっているのが特徴だという。
回答者は、企業・組織が現在使っているテクノロジーの洗練度に対して3つのセクションでスコアリング。これらを「遅れている(Laggards)」「評価段階(Evaluators)」「導入済み(Adoptors)」「先進的(Leaders)」の4つのセグメントに振り分けているという。発表会では、EMCジャパン マーケティング本部 本部長の上原宏氏が、調査結果を披露した。
調査の概況としては、回答者の過半数(57%)がIT成熟度の低いカテゴリに分類されるという。もっとも成熟度が高いのは中国で、次いで米国、南アフリカ、ブラジルの順位になる。一方、日本の成熟度スコアはなんと最下位の16位。調査のスコアリングでは、進歩的な戦略や高度なテクノロジーを採用している企業は成熟度が高くなるため、可用性やセキュリティ、バックアップ/リカバリなどのTRUST分野において対して、遅れているという結果が明らかになった。
また、全世界の回答者の半数近くは、自社の上級役員が可用性、セキュリティ、バックアップ/リカバリが確保されていると考えていないと応えたという。先述の通り、成熟度の低い日本では、この数字が69%に増加し、多くの役員が自社のITの信頼性に疑問を感じているという結果になった。
成熟度が向上すれば経済的な損失も小さくなる
過去1年間におけるインシデントを調べてみると、61%の組織が予定外のダウンタイム、セキュリティ違反、データロスなどを起こしているという。これらのインシデントの結果、従業員の生産性や売り上げの低下を招き、顧客の信頼も落ちてしまったという。一方で、成熟度が高くなるほど、インシデントの影響は少なくなる。たとえば、災害時でもデータをいち早く回復できれば、事業継続できるし、セキュリティ違反の影響も小さくなり、結果的に経済的な損失も小さくなるという。
こうした調査の結果に対して、EMCジャパンでは管理者が「現状に満足しているか」、「投資の優先度」が低いという2つの仮説を出しているという。セキュリティ製品に関しても、事実上困難な100%の侵入防止を求める傾向があるといる。
。これに対して、EMCはRSAのセキュリティ製品やDataDomain、Avamarなどを中心に、さまざまな製品群を用意しているという。また、バックアップとセキュリティの観点で啓発活動も積極的に進めていく。