レースからのフィードバックが生きるコルベット
コルベット・レーシングというチームからル・マン24時間レースや世界耐久選手権に参戦し、ル・マンではGTクラスでこれまで7度の優勝を勝ち得ている。
特に排熱、冷却には細心の注意が払われている。写真を見ても解かるとおり、ボディーパネルにある黒い部分はすべて空気の通る開口部。6.2リッターという排気量の大きいエンジンからの熱を逃がすフロントフェンダー後部のエアアウトレット、リアフェンダー上部のインレットからはそれぞれデフとトランスミッションを冷却するための空気を通す。ボンネットの開口部はラジエターからの熱をいち早く外に送るためのもの。
またフロントグリルからラジエターを通りボンネットの開口部に空気を通すことでスポイラーと同等の効果を産み、高速時のフロントの浮き上がりを抑える効果も持たせてある。
搭載されるエンジンは6.2リッターのV8直噴エンジンで、高速クルージングなどの低負荷時には4気筒を休止する気筒休止機構を持つ。この機構はモード切替で常時4気筒にすることも可能で、無駄な燃料消費を抑えることができるのはうれしいところ。ライバルと目されるポルシェ・911カレラSやアウディ・R8などと比べても格段に燃費がよいとのことだ。
また、このエンジンはアメ車らしく「OHV」というバルブシステムを採用している。少し自動車に詳しい方であれば「いまさら?」という程の伝統のあるシステムであるが、DOHCのV8と比べると重心位置を下げることができるという特長を活かし、現代的にOHVを磨き上げ、ル・マンで優勝できるほどのパフォーマンスを身に着けた。事実、新型コルベットのLT1エンジンは450馬力近辺の出力クラスのヨーロッパ製V8エンジン車に比べると、10cm以上も重心を下げることができている。
軽量化もスーパーカーには重要なポイントで、アルミモノコックやボディーパネルの複合材などはもとより、ボンネットとルーフはカーボンファイバーを採用し、更なる軽量化と低重心を施した。着脱式となるルーフはカーボンゆえ、重量的には1人で余裕で持ち上がる。女性でも軽々持てる重さではないだろうか。そして、取り外したルーフはラゲッジスペースにすっぽりと納まってしまうのだ。
メーターパネルは、LCDディスプレーで走行モードにより表示が変わる。サーキットなどを楽しむトラックモードでは現在のレーシングカーのタコメーターの主流であるグラフ表示。スポーツモードとツーリングモードではアナログメーターを模したタコメーターの表示となるが、その大きさが異なってくる。また、ラジオやオーディオのエンターテーメントはタッチパネルでの操作となり、いまやBluetoothは標準搭載。iPodやスマートフォンの音源も簡単に利用できる。
レースと直結したノウハウとデザインで、ワールドワイドなスーパーカーとなった新型コルベット。ポルシェやアウディと比べればこの車両本体価格はバーゲンプライスといえよう。
最後に新型コルベットのシビレるエンジン音をお楽しみいただきたい。