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ディスクではなく作品を売り始めたディズニー

2013年12月09日 07時00分更新

伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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11月20日に発売されたブルーレイソフト「モンスターズ・ユニバーシティ」は、従来のブルーレイソフトとは一線を画す製品だ。ジャケット上部に記載された「MovieNEX」という文字が新機軸。ブルーレイとDVDのディスクに加え、スマーフォンやタブレットといったモバイル端末でデジタル作品を楽しめる。ウォルト・ディズニー・ジャパンのスタジオグループマーケティング小澤啓一シニア マネージャーに話を聞いた。

MovieNEX
MovieNEXの特別映像として製作総指揮のジョン・ラセター氏のインタビューが見られる

──MovieNEXを始めるきっかけは何だったのですか?

 2012年冬に米国で発売された「アベンジャーズ」では、購入者にさまざまな付加価値をウェブ上で提供していました。例えば、サウンドトラックだったりデジタルのコミックだったり。そういう試みに面白さを感じ、パッケージを一度出したら出しっぱなしではなく、変化できる可能性を見出したんです。

 MovieNEXは、進化し続けるコンテンツをデジタルコピーのかたちで継続的に提供しようというコンセプトのもと、今年の頭から動き出して実現させました。主要な劇場公開作品や人気のある作品をMovieNEX化していく予定です。

──前身の「Disney MOVIE CLUB」に近いものを感じます。

 ディズニーの情報やコンテンツを届けるDisney MOVIE CLUBと基本的には変わりませんが、進化しているところがあります。 MovieNEXの「モンスターズ・ユニバーシティ」を買ったお客さまには、次回のピクサーの劇場作品の情報を提供するといったコミュニケーションができます。お客さまが買った作品にひも付いた情報が提供されるので、より顧客志向が強いと言えるかもしれません。お客さまが購入した作品に基づいてマイページができて、MovieNEXワールドの情報がどんどんたまっていくわけです。

 映画本編は、グーグルプレーかニコニコ動画の外部プラットホームを利用して再生しますが、本編以外の動画はMovieNEXのサイト内で閲覧できます。グーグルプレーではHD版が2500円、SD版が2000円で発売されており、MovieNEXのお客さまはグーグルプレーの視聴券が付いてくるといったかたちです。

 MovieNEXをスタートさせるにあたって、ディスクを買えば何かが付いてくるというよりも、作品をフォーマットに関わらず所有してもらおうと考えました。作品をどこでも見られるようなプロダクトとして提供しようという考えが根底にあります。

──今後、4Kが普及したら、モンスターズ・ユニバーシティも4Kに対応したものが見られるのですか?

 その通りです。社内スローガンとしては「フォーマット購入から作品購入へ」を掲げています。これまでだったらブルーレイとDVDのセットが出る、ブルーレイの単品が出る、DVDの単品が出るといったかたちで1つの作品で複数の商品を販売していましたが、これからはフォーマットを売るのではなく、作品を買ってもらおうというコンセプトです。

──グーグルプレーで買ってもMovieNEXの会員になれますか?

 残念ながら、なれません。あくまでパッケージを買われたお客さまが対象です。

──日本ではデジタル視聴が一般的になりつつあるのでしょうか。

 調査すると、デジタル視聴自体はそれほど一般的でありません。とはいえ、パッケージの購入者を中心にデジタルの利用者は少しずつ増えてきています。パッケージの外側からデジタルに入ってくるお客さまもいると信じているので、そこをうまく広げていきたいんです。ビジネス的にもディスクはまだまだ強いので、デバイスの普及と並行しながらだと思います。今までは実現できなかった視聴環境がデジタルの進化によって楽しめる。こういった利点を伝えていこうと思っています。


 アスキークラウド1月号(11月24日発売)では「対アマゾン 流通本土決戦」と題し、リアルとネットの坂井を越えて繰り広げられる「対アマゾン」の顧客争奪戦の現場をレポート。特集内ではディズニーのMovieNEXから見えるコンテンツホルダーとプラットホームの立場が逆転する可能性について紹介している。


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