シャープの始まりは「早川金属工業」という金属加工業。創始者の早川徳次は、本業のかたわら、繰出式の鉛筆を作ることに熱中したという。試作と改良の末に完成したのが「早川式繰出鉛筆」。のちに「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」の名で大ヒットする商品だ。
しかし数年後、関東大震災が発生、エバー・レディ・シャープ・ペンシルの製造設備は焼失。早川徳次は、大阪に移住して家電メーカーとして再出発を果たし、ラジオを「シャープ」のブランド名で売り出す。エバー・レディ・シャープ・ペンシルの設備とライセンスは譲渡されたが、名残として現在の社名が残っているというわけだ。
前置きが長くなったが、大ヒットする以前の、超初期型の早川式繰出鉛筆を見る機会があった。写真に収めてきたので紹介したい。
現在のシャープ・ペンシルと違い、筐体をひねるごとに芯が繰り出される仕様。かなり小ぶりながら質のいい金属特有の剛性感と、頭部に取り付けられた輪っかが素敵! よく見ると細かな彫刻がほどこされていることから、当時は高級品、嗜好品扱いだったことが分かる。
エバー・レディ・シャープ・ペンシルはプラチナ万年筆により限定復刻されたようだが、こちらの初期型は現時点で復刻なども特になく、国内に数本あるかないか程度のかなり貴重なもの。
紹介した早川式繰出鉛筆は、普段シャープミュージアムで展示されているとのこと。興味のある人は見に行ってみよう。