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World of Tanksの世界へパンツァー・フォー 第4回

私と戦車とWoT――某IT企業勤務ゴースト結城氏編

ライトなミリタリーファン急増はめでたい!

2013年11月29日 19時00分更新

文● ASCII.jp戦車部

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技術ツリーを見ると各国の事情が理解できる……かも

ゴースト結城 「当時の日本は列強の兵器をよく研究していて、戦車もある程度の時点まで、列強をにらみつつ、ほぼ同じペースで開発していたんですよ。ところがチハの辺りでなぜか一端止まるんです」

―― 止まっちゃうんですね。

ゴースト結城 「そして結局、チハとその派生バージョンが日本軍の主力戦車になってしまう。ところがチハは、列強でいうところの軽戦車クラスなんですね。この差はどこから来たのだろう。もしかすると、日本陸軍の伝統みたいなものが邪魔したのではと。

 『歩兵の本領』という軍歌がありまして。一番正しい歩兵の戦い方はこうだみたいなものが、長い歌詞で延々語られているんですけど、途中に出てくる歌詞では、銃は本来の兵器ではないというんですよ」

―― え゛。

ゴースト結城 「これでまず敵をひるませると」

―― ほう。

ゴースト結城 「その間に生身で突進していって、最後は剣で戦う。これが歩兵であるみたいなことが書いてあるんですね。この歌を、日本陸軍の兵隊は全員歌っていたと思うんです。そういう価値観のなかで、戦車がないと戦えませんみたいなことをいうやつは許されなかったと思うんです。たぶん。

 でも、南の島へ渡っていくと、M3リーだのが待ち受けているわけです。洒落になってないですよね。で、こっちにいるのは軽戦車同然のチハだしっていう」

―― 翻ってWorld of Tanksの技術ツリーを見ると、今のところ日本には重戦車、駆逐戦車、自走砲がありません。まあ今後、計画のみの戦車などが追加されるとは思いますが。この初期ラインナップを見るだけでも、日本における戦車の立ち位置がなんとなく類推できますね。

現在公開されている日本の技術ツリー。軽戦車と中戦車のツリーに絞られている

ゴースト結城 「そして、『これは安定して戦力になりそうだ』という兵器を見つけると、バリエーションをめちゃくちゃ作っちゃう、というのも日本軍のありがちなパターン。World of Tanksの技術ツリーでもチハの派生がちらほら見えますよね。

 現状の延長でなんとかしようという心づもり。これは、昨今の日本の電機業界を暗喩するかのような……やっぱり、ある程度ガラケーでいけるんじゃないのとか、そうはいってもやっぱりiモードがないと、とか。その結果は……あまり深くは突っ込めませんが(笑)」

―― ええ。

ゴースト結城 「まあ、立ち止まる余裕がなかったというのもあると思うんですけどね。アメリカやドイツはどこかの段階でいったん“ゼロベースで最高のもの”を模索しているように見えます。結構そこにブレイクスルーがあったりして。日本でようやくそれができるようになったのが四式あたりなんですが、いかんせん遅すぎた。その歯がゆさを感じるところまで行くと、だいぶ世界が開けるのでは。

 そう考えていくと、日本は攻略のしがいがある技術ツリーだと思いますよ。日本ほど時代によって温度感の違う国もないので。戦後はうまい具合に成長して、74式で世界基準にほぼ伍す戦車を開発することになるのですが、World of Tanksではその試作車両・STB-1が最後に登場します。終盤に報われるタイプの技術ツリーだと信じたいです(笑)」

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