突如として販売が開始されたiPad mini Retinaディスプレイモデルですが、筆者はAmazon Web Service(AWS)が11月12日からラスベガスで開催したイベント「Re:invent」の取材のために、出かける準備をしていたところでした。もともと購入を決めていたとはいえ、今回軽く薄く小さくなったiPad Airとかなり迷っていたのも確かでした。しかし、不意打ちにつられて、オンラインのApple Storeでオーダー。
配送日が1~3営業日であることを確認して、ラスベガスへの旅路に就きました。
ラスベガスのAWSイベントで見た
イノベーションを支える企業の強い意志
ラスベガスは相変わらず、どこへ行くにもホテルのカジノの中を通過するという状態でしたが、AWSのカンファレンス自体はとても面白く、刺激的なものでした。
事例紹介だけでなく新しいサービスの数々もリリースされた結果、スタートアップにとっての“使わない理由がない”サービスだけでなく、大規模な企業やセキュリティー、パフォーマンスを極度に要求する業種にとっても、進んで選ぶべきサービスへと変化しつつあることを感じ取ることができました。
新サービスであるデスクトップの仮想化やビッグデータのリアルタイム解析、システムの多重化やマルチリージョン化、セキュリティや信頼性など、ダイナミックな新サービスと安心感を与える事例紹介で、自社サーバー運用やプライベートクラウドのベンダーを蹴散らそうという勢い。
コストやスケーラビリティはもちろんのこと、それまでインフラ構築が可能な技術や背景となる予算が差別化要因になり得たこの業界の絵図を塗り替えてしまうかもしれないとすら思いました。
空港からホテルへのタクシーで
ラスベガスのApple Storeに電話してみると……
さて本題に戻りますが、今回のiPad mini Retinaディスプレイモデルの発売は少し妙でした。
米国のApple Storeでは、(編註:日本と同様に)店頭での直接販売は行なわず、オンラインでの予約購入のみ。通常は可能な店頭での引き渡しも限られた店舗のみで可能という状態でした。筆者がオンラインのApple Storeで注文した時点では、バークレーにある最寄りのApple Store, 4th Streetという店舗では発売直後の購入では店頭引き渡しの選択すらできず、家に配送してもらうしかありませんでした。
こちらのオーダーは結果的に、ラスベガスから戻ってきた15日に自宅に届きました。
イマイチ状況が飲み込めないままラスベガス行きの飛行機に乗ったこともあって、気になったのでラスベガスの空港からホテルまでのタクシーで、ラスベガスのショッピング街であるFashion ShowにあるApple Storeに電話をかけて、「iPad mini Retinaディスプレイモデルの在庫はあるか?」と聞いてみました。
すると、「(12日夜の時点で)今は在庫はないけど、明日には入るよ。明日になればあるにはあるんだけれど、店頭に来てすぐに買えるわけじゃないんだ」と要領を得ない答え。どういうことかと聞いてみると「Apple Store Onlineで購入して、店頭受取を選択すると、13日には渡すことができるよ」とのこと。
筆者がApple Store Onlineでオーダーした際、バークレーのお店での店頭受取は選択できなかったのですが、ラスベガスのApple Store, Fashion Showは受取可能な店舗に入っているようです。つまり、オンラインでオーダーする際に、ラスベガスのお店を最初から選択していれば13日朝には受け取れていたということです。
店頭のMacでオンラインに発注して
その店頭で受け取る?
ひとまず13日にはラスベガスのApple Storeには在庫がある。なんとかなるんじゃないかと、夕食前の空いた時間にApple Storeへ行ってみました。店員に聞いてみると「店に在庫はあるが、販売できる在庫はない」というトンチのような答えが返ってきました。
「じゃあ、今オンラインのApple Storeでこの店でのピックアップを指定して購入すれば、今日受け取れるということ?」と聞くと、店員さんは少し考えて、「確かに」と答えたのです。じゃあ今から注文するからと店頭のMacを使って、新たにiPad mini Retinaディスプレイモデルを購入し、今いるApple Storeでの受け取りを指定しました。
購入完了のメールには「受け取りの準備ができたらメールする」と書いてありましたが、10分ほどで「準備できました!」とメールが届きました。自分がいる店の在庫を買うのに、なんでオンラインでオーダーして10分待っているんだろうと不思議な気分になりながらも、すんなりとiPad miniを受け取ることができました。
冷静に考えてみれば、オンラインで店舗にある在庫を確保する事ができるわけなので、裏側の管理システムがよくできているという話なのですが、購買体験としては少し不自然なものでした。
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