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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第229回

SoC技術論 ICをカスタマイズするメリットとリスク

2013年11月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 前回はSoCの作り方を説明したが、今回はさらに細かい箇所をつまみ食い的にもう少し解説したい。

インテルの最新SoC「Quark SoC X1000」

汎用品と専用品

 IC(集積回路)は、大別して汎用品と専用品がある。汎用品というのは非常に基本的な回路のみを集積したもので、代表例の1つにTTL ICと呼ばれるものがある。

 これはTI(Texas Instruments)が1962年に出荷を開始した7400シリーズを指すもので、NOPやAND/OR、NAND/NORといったロジック回路の根幹部品や、これらを組み合わせたラッチやらデコーダーを14ピンのDIP(Dual Inline Package)という形態で提供したもので、70年代に電子工作をするときには欠かせなかったパーツである。筆者もこれでエレキーなどを作った覚えがある。

 あるいは有名なところでタイマーICのNE555や、アナログのオペアンプであるLM301Aは、50代の方にはとても懐かしいものだろう。

 作り方はともかくとして、汎用的に使われているという意味ではCPUも汎用品の一例であり、PICやAVRといった8bit MCUから、最新のCore i7、AMD FXといった64bit CPUまで、どれも汎用品の分類でよいかと思う。

 汎用品とは別に発展してきたものが専用品である。もっともこの専用品と汎用品の境目は、実は適当である。例えば世界最初の1チップマイコンとして知られる「i4004」にしても、最初はビジコン社向け電卓用の専用品として企画されている。

i4004(インテルウェブサイトより引用)

 ただ開発費の捻出をめぐってビジコン社が支払いを軽減するためにチップの再販をインテルに認め、これが同社の躍進の最初のきっかけとなったことはよく知られている。

 専用品も汎用品も作り方そのものは同じであり、単に売り方が違うだけである。最近の話では、インテルがFacebookやAmazonといった大口顧客向けに専用CPUを提供しているという話題があった。

 これは特定顧客にフルカスタムの専用CPUを提供するのではなく、汎用品の一部を変更して特定顧客向けにする。例えばフロントエンドサーバーやNoSQLデータベース向けのCPUであればFPUは必要ないため、これを削ってその分消費電力を減らす、ということである。

 もっとホットな話題では、AMDがSCEのPS4とMicrosoftのXBOX One向けに専用チップを提供している。どちらもCPUコアはJagure、GPUコアはGCNで、あとは内部のバスやバッファー構造、メモリー周りなどをそれぞれのニーズに合わせて変更したもので、基本となる構造はモバイル向けの汎用CPUである「Kabini」と大きくは違わないわけだ。つまるところ専用品と汎用品の違いはその程度である。

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