アニメの「カラーバンディング」(不自然なグラデーション)
を抑制できるか!?
試しに、YCbCr(4:2:2)、Deep Color出力オフ(通常のHDMI接続)と、YCbCr(4:4:4)、Deep Color出力オンとの画質の違いを比較してみた。いくつかの映像で試してみたが、残念なことに画質的には明かな差が出なかった。
これは、REGZA Z8が最新鋭の薄型テレビで、クロマデコード性能もBDレコと同等かそれ以上に優秀なためだろう。もちろん、細かな違いではあるが、YCbCr(4:4:4)、Deep Color出力オンの方が、映像のノイズ感が少なく、S/N感の向上が確認できた。
8bit出力よりも12bit出力の方が情報量が多く、階調表現や微妙な色の違いを再現できることや計算誤差によるエラー(ノイズ)の発生が減っていることがわかる。
12bit出力のメリットは、アニメで目立ちやすい「カラーバンディング」(色と色の境目が目立ってしまう現象)を抑制できることもある。色階調が256から4096に増えるので、原理的にグラデーションのような色の細かな変化を再現しやすくなるわけだ。
話題はそれるが、前回紹介したパナソニックのMGVC対応BDソフトがなぜアニメばかりなのかもそれに近い理由があると思う。
12bit×3色の36bitで映像を記録することで、制作時にはなかったのにBD化するときに発生してしまうカラーバンディングを解消できるからだ。
付け加えれば、REGZA Z8で追加された「コンテンツモード」は、「シネマ」や「ビデオ」では「4KマスターBD」となっているのに、アニメだけ「ハイビットBD」となっているのも、MGVCのようなハイビット収録のBDソフトをターゲットにしているためだ(アニメはまだ4K制作されたタイトルが存在しないが)。
ということで、YCbCr(4:4:4)、Deep Color出力ならば、アニメのカラーバンディングを解消できるのではないか? これに挑戦してみた。
だが、結果としてはカラーバンディング解消とはいかなかった。BDソフトも8bitにダウンコンバートするときには制作側でカラーバンディング抑制のための処理をきちんと施しており、それでも消しきれないものは、テレビやBDレコでもなかなか解消できないのだろう。
しかし、実はソニーのBDレコには、これを解決するための画質調整機能があるのだ。これが「スムージング」と「アニメCGリマスター」。
スムージングはまさしくカラーバンディングを補正する機能で、ディテールのない単調なグラデーション部分などでのカラーバンディングを修正し、スムーズな映像にする機能だ。これを使うことで、カラーバンディングは見事に解消できた。
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