東芝「REGZA Z8」の最新の高画質技術の効果を検証
ここからは第1回で紹介した47Z8に盛り込まれた最新鋭の高画質機能の効果を確認してみることにする。
第1回で紹介したとおり、47Z8の高画質のポイントは新開発のLEDバックライトシステム「直下型広色域LED採用ダイレクトピュアカラーパネル」だ。輝度を75%向上、色域を14%高めることで、明るく色鮮やかな映像を手に入れた。
その実力はパッと見ただけで違いがわかるもので、まず第一に「明るい」。液晶テレビは明るさが有利だが、昨今は省エネ性能の向上もあってどちらかというと高輝度は控えめにする傾向があった。
47Z8も省エネを無視しているわけではないだろうが、高効率のLEDバックライトを開発することで、消費電力を維持しながら高輝度化を実現したわけだ。
テレビ放送などを見ていると、実に明るい映像と感じるが、それでいてまぶしいとか目が痛くなるような刺激的な明るさではなく、晴天の秋の空のように爽快な明るさだ。
コントラスト感が高いため、明暗がしっかりと再現されたエネルギッシュな映像に感じる。この力が漲っているような映像は、かつての「CELL REGZA 55X1」を思い出させる。色の豊かさを考えれば、それ以上だ。
超解像技術による精細感をチェック
では、47Z8の高画質技術を詳しく見ていこう。まずは超解像技術である「レゾリューションプラス」の実力を検証。今回は、出荷時の標準的な設定のまま、オンとオフを比較してみた。
解像度チャートで比較してみると、オン/オフで大きな差は少ない。実はここもポイントで、超解像技術などで精細感を高めた場合、製品によっては解像度チャートで不自然な強調感が出ることがある。
たとえば斜め線のジャギー感が強まったり、細かい数字にリンギング(白いフチドリのようなもの)が発生することがある。そうした強調感はなく、いわゆるギラギラとした映像にならないのも、東芝の超解像技術の特徴だ。
それでいて、解像度チャートの1080本や1200本あたりの細かいラインを見てみると、わずかだが細かいラインが溶けてグレーになった部分が鮮明になっていることがわかる。不自然な強調感を抑えながら、細かい部分まですっきりと再現できている。
続いて、自然画でも試してみた。パッと見ても竹の葉が重なり合った部分が漏れる光が増え、細かい葉が重なり合っている様子がよくわかる。画面全体の明るさが変わっているわけではないのだが、重なった葉の見通しがよくなったことで明るさが変化したように感じる。
白の階調を高める「ハイダイナミックレンジ復元」
今度は、高輝度化したパネルの実力をさらに引き出す「ハイダイナミックレンジ復元」を試した。これは、カメラなどが白飛びを抑えるために輝度ピークを制限して撮影しているため、このピーク制限を復元してより白側の階調性を高めるものだ。
同じ竹林の映像で試してみると、面白いことに「ハイダイナミックレンジ復元:オン」の方が画面が暗くなったように感じる。影の部分がぐっと黒の深みを増し、映像が締まった印象だ。
そして、ポイントであるハイライト付近の明るい空のあたりを見てみると、細かい竹の葉の形状がよりはっきりと再現されていることがわかる。映像の輝度が高すぎて空に溶け込んでしまっていた葉が白側の階調を高めることで、しっかりと再現されているというわけだ。
この機能は、明るい空に浮かぶ白い雲の階調感をしっかりと描くほか、金属の光沢感などの再現を高めるもの。光の輝きを高めることで、映像のリアリティを向上しているのだ。
こうして比較してしまうと、暗部が沈みすぎているようにも感じる。そこでテストチャートで白側と黒側のピーク付近の階調を見るチャートでも比較してみた。
ここでも全体に黒側が沈むように感じるが、実は輝度20%以下の黒側のチャートの再現性には変化がなく、黒つぶれは起きていない(写真を表示するディスプレーによっては見づらいかも知れない)。逆に96%以上の白側の階調は1%刻みで輝度の変化がきちんと識別できていることがわかる。
色の再現を豊かにする広色域技術
広色域再現については、色域設定で切換が可能になる。基本は「オート」でいい。これならば、従来の色域で撮影された映像の場合は「色域復元」を行なうし、x.v.Colorなど広色域で記録された場合は「x.v.Color」の色域に従って表示する。
また個別に選択することも可能で、「色域復元」、「x.v.color」、「標準」が選べる。「標準」とは色域復元を行なわずに従来の色域のまま再現するモードだ。
「標準」にしてしまうと、鮮やかな色の豊かさが抜け、あっさりとした再現になる。テレビ放送や従来の映像を「オート」や「色域復元」で見ていても、赤色が不自然に華やかになることもなく、自然でしかも豊かな発色が得られていると感じる。
いわゆる「広色域表示」は不自然さが気になる人も多いと思うが、本機の場合は不自然さはきちんと抑えてあるので、「オート」で鮮やかな色を存分に楽しむのがいいと感じた。
超解像技術のほか、新採用された画質調整機能を試してみたが、高精細というよりは自然さやリアリティーを高める方向のチューニングと感じた。
物理的な解像度はパネルの画素数を超えることはできないので、画作りと合わせてより説得力のある映像に仕立てるという方向は正しいと言える。Z8シリーズは従来通りかなり詳細な画質調整ができるので、もっとじっくりと時間をかけ、さらなる高画質を追求してみたいと感じた。
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