パズルのようにキューブを置いて音楽を作っていく
キューブをテーブル上に置くと、真ん中の白い点から線が引かれます。この線がつながっている場合、発音キューブの音は常時出力。線をスワイプすると点線になり、信号が途切れてキューブからの音がミュートされる仕組みです。
発音キューブと中心点との線上に、エフェクトキューブを差し込むとエフェクターがオンになります。この際キューブの配置がキモで、たとえば2つの発音キューブをそれぞれ近い位置に配置し、両キューブの線上に乗るようにエフェクトキューブを置くと、2つの発音キューブにまとめてひとつのエフェクトをかけることが可能です。
シーケンスキューブは発音キューブがSampleplayモードのときに機能し、発音キューブに対して入力されたフレーズを送ります。ユーティリティーキューブについては中心点からの線は引かれず、テーブル上に置かれた時にボリュームコントロールなどの効果を発揮します。
キューブをダブルタップし、回転させるとそれぞれのキューブに応じた特殊な効果が付けられます。また、音量や効果は各キューブ外周にある半円のコントローラーで調整。通常状態だと少しいじりにくいので、テーブルをダブルタップ&ピンチでキューブ付近を拡大するといいでしょう。
具体的な使用例としては、まずLoopキューブをテーブルに配置し、ループサンプラーモードを選択。メニューからリズムループのサンプルを読み込んで、基本となるリズムを決めます。次に2つのSequencerキューブから別々のSampleplayキューブへと、ベースラインとメインになるフレーズを送り込む。"Oscillator"キューブでノイズを作り、"Modulator"キューブや"Filter"キューブなどを置いて色づけをしていく、といった感じです。
複数のLoopキューブに別々のループサンプルを読み込むことでDJ的なプレイも楽しめますし、"Delay"キューブや"Input"キューブの組み合わせでフィードバックが過激なノイズを作ってみるのもいいでしょう。
気に入った流れができたら、レコーディングボタンを押して、テーブル上でのプレイをリアルタイムで録音・保存。作った楽曲のデータはCommunityにアップロードして他のユーザーとシェアすることができます。
Communityで他のユーザーがアップロードした楽曲からWAVデータを拾って、Loopキューブのサンプル素材として使うこともできます。
プレイデータではなく、WAVファイルとして演奏録音もでき、こちらはSouncloudにアップロードが可能。Sound fileとして保存し、Audio Copy機能を使って別のアプリと組み合わせ、編集を加えるのも簡単です。録音モードの切り替えはメニュー画面のCurrent Tableを選択します。
惜しいと思ったのは、SampleplayのキーボードユニットとSequencerの使い勝手があまり良くない点。キーボードユニットのオクターブや調性を変えるたびにユーティリティーキューブを開くのは手間に感じます。Sequencerはレイアウトが独特で、白鍵黒鍵はありますが目安となるノート(C3)の表示がなく、パッと見て把握しづらいので、使いこなすには慣れが必要です。外部MIDI機器にも対応しておらず、演奏も打ち込み作業自体もやりにくいのも改善してほしいところ。
Reactableの実機はPCテーブルほどのサイズで総重量約30kg、お値段もなかなか高価(6100ユーロほど)です。容易には手に入れられない代物でしょう。比べてこのアプリは惜しい点もあるとはいえ、その特異性と面白さを良心的なお値段で充分に感じられます。難しいことは考えず、気分に任せてキューブを並べ替えて、パズル感覚の音楽体験を楽しんでみてはいかがでしょうか?
藤村 亮(ふじむら りょう)
1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。2013年4月にロックバンド"流天"を結成し、作詞作曲を担当する。2013年11月には2年半ぶりのヨーロッパツアーが決定している。
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