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最新パーツ性能チェック 第150回

TITANを追撃! AMD「Radeon R9 290/290X」の戦力をチェック

2013年11月05日 15時40分更新

文● 加藤 勝明

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PowerTuneの刷新

 290も290Xも基本アーキテクチャは従来製品と変わらないが、動作クロック制御をつかさどる“PowerTune”というGPUコアクロックのブースト機能に大きなテコ入れが入った。

 Radeon R9/R7系のコアクロックは“最大1GHz”という表記を採用し、今まで使ってきたブーストクロック表記がない。これまでの定格クロックと、必要に応じてブーストクロックまでオーバークロックされるという機構を廃し、クロックを完全可変にすることで無駄な電力消費やファンノイズの発生を防止する、というのが新しいPowerTuneの正体だ。

 GPUの温度情報とGPUにかかる負荷、そしてVR部の温度や電圧などからGPUのクロックや電圧、ファン速度の最適な値を導き出すというものだ。VR部のフィードバック制御のために「SVI2(Serial VID 2)」というチップがカード上に搭載され、10マイクロ秒単位で電圧制御が行なわれる。

290/290XにおけるPowerTuneを図式化したもの。GPUの温度のほかに負荷による消費電力予測やVR部の電圧や温度などを加味したうえで、コアクロックや電圧、ファン速度を制御するというもの

上の図で右上に白く強調されているのが、VRM部に設置された「Serial VID(SVI2)」チップによる情報だ。290Xや260Xのほかに、ソケットFM2マザーに搭載されている

 このため「Catalyst Control Center」内の「AMD Overdrive」のインターフェースも大きく変化した。下図がその設定画面だが、4象限に分かれたグラフの中心が定格動作で、右上になるほど高クロック&高消費電力を志向し、逆に左下は低クロック&低消費電力志向のセッティングになる。

新しい「AMD Overdrive」のインターフェース。縦軸がGPUクロック、横軸が消費電力で、黒丸が置いてある位置でOCの度合いを変更する。ちなみ一番右上に設定したら一瞬でフリーズした

 さて、クロックの変動にGPU温度を使うとなると、GPUの冷却が必要になる。言葉を換えれば“冷えなければクロックは上がらない”わけだ。そこでAMDは抜け道として2つの冷却モードを設けた。それが「Uber」モードと「Quiet」モードだ。

 RadeonではおなじみのBIOS切換スイッチを切り換えることで、2種類の冷却設定を自在に行き来できる(ただし再起動は必須)。実際に温度やクロックがどう推移するかは、後ほど290を使って検証することにしたい。

基板上のスイッチはこれまでのようなサブBIOS切換スイッチではなく、ファンの回転速度の上限を決定するもの。バックプレート側なら“Quiet”、補助電源側なら“Uber”モードとなる。BIOSの切換には再起動が必須だ

 ちなみに、このスイッチはQuietモードが出荷時の標準設定となっている。今後の検証でも、Quietモードで行なうことにする。

検証環境

 では検証に入る前に、テスト環境を整理しておこう。今回はカードの入手時期とテスト期間の関係上、グラフィックドライバーの統一がとれていない状態でテストしている点はご容赦いただきたい。

テスト環境
CPU Intel「Core i5-4670K」(3.4GHz)
マザーボード ASUSTeK「GRYPHON Z87」(Intel Z87)
メモリー Crucial BLT2K8G3D1608ET3LX0(PC3-12800 DDR3L 8GB×2)
ビデオカード Radeon R9 290X(リファレンスカード)
Radeon R9 290(リファレンスカード)
MSI R9 280X Twin Frozr 4s OC(Radeon R9 280X OC版)
GeForce GTX TITAN(リファレンスカード)
GeForce GTX 780(リファレンスカード)
SSD Intel「SSDSC2CT240A4K5」(240GB)
電源ユニット オウルテック AU-850PRO(850W、80PLUS GOLD)
OS Windows 8.1 Professional 64bit版
グラフィックドライバー Catalyst 13.11 Beta V5(280X/290X)
Catalyst 13.11 Beta V8(290)
GeForce 331.40(Beta)

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