このページの本文へ

長~く使える極上のPCケース2013 第4回

長~く使える極上のPCケース2013【Abee/Lian-Li編】

2013年11月04日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

側面→側面&背面排気の冷却システム

 本製品の見どころは「ILAS(Intelligent Lateral Airflow System)」と名付けられた設計だろう。外観を見ればわかる通り、前面パネルはソリッドな一枚板で吸気口の類は一切ないが、その分前面手前側とビデオカード直上部分に大きな吸気口が設けられている。ILASのLateralとは、この側面から採り入れた空気を背面に出す、ということを意味しているのだ。

中央横で輝いているのが本製品の大きな特徴であるビデオカード冷却ユニット。ドライブベイはすべて固定で、そこに120mmファンが2基装着されている。このファンが一般的な製品における前面ファンの役割を果たす

パーツを組み込んでみたところ。天井を覆うパーツがマザーの上端ギリギリまで迫っているが、内部的には簡易水冷キットを天井に設置する程度の余裕は十分確保されている。ただ、ビデオカード用の空間よりCPU側の空間の方が広いなど、空間の使い方が少々もったいない印象もある

  Abee製品の全体的な特徴として、ツールレス式のドライブベイのようなスナップイン式の機構やプラスチック製パーツを極力使わず、ネジでの固定にこだわっている点が挙げられる。本製品もその哲学が色濃く出ており、ビデオカード用冷却ユニットやドライブベイの固定も全部ネジを使用する。

 そのため本製品の組み立てやすさやメンテナンス性は今どきのPCケースとしては大きく劣るのは仕方がないところだ(パネルの噛み合わせなどの設計精度の高さもこの面ではマイナスといえる)。しかしその分確実に固定でき、破損や経年劣化の心配も少ない。これぞと決めたパーツでビシッと組みたいなら、本製品のような古典的な設計のケースは素晴らしく映えるだろう。

 ただ出荷時の美しさを追求するためか、ケースファン用の電源ケーブルがファンにテープ留めされている。ビデオカード用冷却システム内部のファンを使うのにフードを分解する必要があるのには参った。美しさ優先なのはいいが、もうちょっとユーザーに歩み寄った仕上げにしてほしいものだ。

SSDやHDDは図のように前面から挿し込んで内部で固定する。今はトレイに載せてはめ込む製品が主流なので、固定方法はかなり古臭い。ただしドライブの物理的安定やトレイやレールの破損・紛失などの心配は一切ない

3.5インチ用シャドウベイを後ろから見たところ。HDDは前半部分だけタイトなベイ内に固定され、後半は120mmファンの風に晒される設計だ

ビデオカード用冷却ユニットの内部には120mmファンがナナメに取り付けられており、左側板および背面の吸気口から採り入れた空気をビデオカードに吹きつける役目を担っている。フード部はステンレス製で結構重い

動作時の温度をチェック!

 それでは各部温度の測定に入ろう。独特の冷却システムがどう機能しているかに注目したい。

各部の温度(単位:℃)

 ビデオカードを覆うファン付きフードの力には期待していたが、特別低くなるわけではなかったのは残念だが、どの部位の温度も平均して低くなっている。

 前面吸気ファンを持たない分CPUの温度が心配だったが、ビデオカード用フードから流れ込んだ気流がCPU周辺に上手く流れていくようで、意外とCPUも冷えるようだ。価格は高く、組み立て時の手間も相当だが、上手く使いこなせれば強力な武器となるだろう。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ピックアップ

ASCII.jpメール アキバマガジン

ASCII.jp RSS2.0 配信中