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エンタープライズからハイエンドへ進む

NGFWとしても優秀!進化を続けるフォーティネットのUTM

2013年10月30日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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元祖UTM(Unified Threat Management)ベンダーであるフォーティネットが、NGFW(Next Generation Firewall)としてのメッセージを強めている。米フォーティネット インターナショナルセールス&サポート シニアバイスプレジデントのパトリス・ペルシェ氏に最新動向やNGFWとしてのメリットを聞いた。

エンタープライズに受け入れた背景とは?

 ファイアウォールとVPNのほか、アンチウイルス、IPS、メールセキュリティなどさまざまなフィルタリング機能を単一のアプライアンスに統合したUTMのコンセプトを他社に先駆けて展開してきたのがフォーティネットだ。創業からすでに10年以上が経ち、老舗のセキュリティアプライアンスのベンダーとして、リーダー的なポジションを確保している。ペルシェ氏は、「われわれは10年前にUTMのコンセプトを投入し、他社もその流れに乗ってきた。しかし、UTMの市場を見れば、いまだにリーダーの地位。毎年27%増という売り上げを実現している。日本でもシェアは一番だ」と説明する。

米フォーティネット インターナショナルセールス&サポート シニアバイスプレジデント パトリス・ペルシェ氏

 この背景にはやはり積極的な研究開発があるという。FortiGateシリーズの売りである高いパフォーマンスは、汎用CPUと専用ASICの組み合わせによって実現されている。「安定した成長はわれわれの革新的な技術が功を奏している。これまで研究開発費で3億5000万ドルほど費やしている」と語る。

 ここ5年でUTMはエンタープライズの市場でも利用されるようになってきたという。「数年前までは『UTM=中小企業向け』というイメージがあったが、すでに大企業も安心して利用してもらえる製品となっている」(ペルシェ氏)。特に5年前に高速なFortiGate 3000/5000シリーズを発表し、営業体制を変えたことで、エンタープライズやデータセンターなどのビジネスも順調に伸びるようになったという。「通信や金融など業界ごとにリファレンスを獲得したり、第三者の研究機関の評価結果で信頼を得る戦略をとったことが功を奏している」(ペルシェ氏)。この結果、現在ではハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドでバランスのよい収益構造になっているという。また、セキュリティ製品のラインナップも大幅に強化しており、UTMのようなゲートウェイのみならず、DDoS対策やワイヤレス製品、買収したコヨーテポイントのロードバランサーまで含め、幅広いポートフォリオが売りとなっている。

エンドツーエンドでの幅広い製品ポートフォリオ

NGFWはUTMの一部である

 そして、より幅広い顧客を開拓すべく、最近ではUTMではなく、「NGFW」という言葉を意識的に使うようにしている。従来のファイアウォールに比べてきめ細かなアプリケーションの制御と可視化を実現するNGFWと呼ばれるファイアウォールが、エンタープライズ市場で注目を集めている。ペルシェ氏は、「NGFWはUTMの一部だ。ガートナーのNGFWの定義では、ファイアウォールとIPS、アンチウイルスが含まれているいうものだ。パロアルトはアプリケーションの可視化を売りにしているが、UTMはフィルタリングやマルウェア対策などでも優れた性能を確保している」と説明する。

 NGFWとしての実力も折り紙付きだ。「NSSのラボにおいても、エンタープライズクラスのNGFW、IPS、ファイアウォールという主要な3つの領域で推奨されている」(ペルシェ氏)とのこと。セキュリティの面だけではなく、性能面、さらにコストパフォーマンスでも高い評価を得ているという。

 来年、新たに投入されるのは160Gbpsという桁違いの処理速度を実現する「FortiGate-3700D」と呼ばれるデータセンター向けゲートウェイだ。「自社開発のASICでNP6という最新のネットワークプロセッサーを搭載しているので、セッション数や競合他社に比べて優れている」(ペルシェ氏)。

桁違いの処理速度を実現する「FortiGate-3700D」

 おもに大手ホスティング事業者やキャリアなど、複数の広帯域なパイプを統合したいユーザー向けで、特にモバイルのオペレーターや金融取引など低遅延・リアルタイム性を重視する顧客に最適だという。ペルシェ氏は「IPv4もIPv6も同じスピードで処理できるので、移行を考えるユーザーには最適だ」と語る。企業におけるクラウドやビッグデータの導入、モバイルトラフィックの増大など、あらゆる面でデータセンターでのセキュリティは今後、非常に重視されてくる分野だ。こうした市場を狙い、ハイエンド向け製品は今後も拡充されるようだ。

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