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なれる!SE 間違いだらけの?IT用語辞典(中二版) 第36回

お金がかかるをキーワードにいろいろな話題が広がったIT用語

2013年11月21日 18時00分更新

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回答編


フォールトトレランスはシステム設計思想の一つね。
日本語に訳すと『耐障害性』『障害許容力』って意味合い。


障害を許容する力……設計思想? んん?


まぁこれだけだと分かりづらいので、もう一個概念をあげてみるわね。
フォールトアボイダンス、すなわち『故障回避』設計。これはハードウェアやソフトの品質を極限まで上げて障害自体起こらないようにするやりかた。テストを何重にもやり、高信頼部品を組み合わせて障害の可能性を減らす。


おぉぉ、お金かかりそう……。


まさしくね。しかも何ごとにつけ100%の可用性なんてありえないから、コンマ以下の稼働率を上げれば上げるほど費用は天文学的に膨らんでいく。だから通常は『故障は起こるもの』と割り切って起きた時にどうするか考える。これがフォールトトレランス設計


えーと……障害発生時の代替プランってことですか?


別にややこしい話じゃないわよ。普段私達よくやってるでしょ? 機械を二重化してメイン系が落ちた場合はバックアップで通信を継続する。


あ、確かに。言われてみればあれ『故障が起こること前提』の設計ですね。


他にもデータが消えた時のためのバックアップ取得。停電が起きたときのための予備電源手配、普通に色々工夫してるわよね。で、それを極限まで推し進めると、メインデータセンターが壊滅したときのバックアップセンター整備なんて話が出てくる。


! ディザスターリカバリー(*1)だ!


そう、あれもいわゆるフォールトトレラント設計の一つ。ま、通常はフォールトアボイダンスフォールトトレランスもどっちか一方だけでなく、組み合わせて使われるけどね。プロダクトの品質向上をある程度追求して、採算がとれなくなったら冗長化や縮退運転を考える。


まさに適材適所ですね。色んな手法のメリットを組み合わせて、よりよいやり方を考案する。


うん、ちゃんと理解できてるじゃない。というわけで最初の話に戻るけど、私の服の買い方も色々手法を組み合わせて改善しようと思うのよ。


ほぉ、それは是非にと言いたいところですが……具体的には?


まず私が引きこもりなのはどうあっても変わらないので、ネット通販は今までどおり使う。


はぁ(……それだと意味ないんじゃ)


ただだまされて損したくないのでカードの請求先をあんたに変える。


なるほど、であれば……って、はい? 僕?


失敗してもメイン口座に影響は出ない! 何度でも散財可能! まさにフォールトトレランス、耐障害性設計! さぁ、さっそくやってみましょう! ポチっとな。


いやいやいや、なんでですか。困りますよ、そんなの! 20万とか引かれたら僕の口座マイナスになりんますし。てかちょっと!? 本当に登録してるし! いつの間に僕のカード情報ゲットしたんですか室見さん! やめてー!

(*1) 第29回参照 http://ascii.jp/elem/000/000/821/821454/


【解説】

フォールトトレランス
システム設計思想の一つ。故障が起こることを前提にバックアップや縮退運転での業務継続を企図する。プロダクトの可用性向上で障害自体を防ぐ設計はフォールトアボイダンスと呼び区別される。

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