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オープンテキストは倍返しではなく3倍

2013年10月17日 07時00分更新

文● 松下康之(MATSUSHITA Yasuyuki)/アスキークラウド編集部

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 2013年10月9日、カナダ大使館で行われた「第1回日本・カナダITシンポジウム」に合わせて来日したカナダ、オンタリオ州ウォータールー市に本社を置くエンタープライズ情報管理ソリューションのオープンテキストコーポレーション(以下、オープンテキスト)のマーク・バレンシアCEOは、アスキークラウドのインタビューに答えた。

OpenText Corporation President兼CEOマーク・バレンシア氏とオープンテキスト株式会社代表取締役社長の早川典之氏

OpenText Corporation President兼CEOマーク・バレンシア氏とオープンテキスト株式会社代表取締役社長の早川典之氏

 オープンテキストは、企業内の非構造化データの管理ソリューションなどを提供するカナダ最大のソフトウェア企業。バレンシア氏によればERPなどのビジネスデータの管理ソリューションは「既に疲弊している。だからこそオラクルもSAPもハードウエアに手を出して情報システム部門の予算を搾り取ろうとしている。しかし企業に存在する文書やメールなど非定型データを横断的に管理するエンタープライズ情報管理が今求められている」と語る。「もちろん、ERPがすぐに終わるとは思わないし、我々もSAPと連携するソリューションを持っているがね」とERPを否定しているわけではないとコメントした。

 日本市場を重視しており、新たに日本法人の新社長として元SAPの早川典之氏をこの4月に招いた。今後、製品のポートフォリオの整備を進め、これまで分散していたオフィスを一つにまとめるという。その上で「日本市場で売上を3倍にする。今回、日本で覚えた私が大好きな言葉は、サンバイだ。」と延べ、期限は明言しなかったが、大きな成長を見込んでいることを示した。

 早川氏がSAPからの転職組であると同様に、バレンシア氏自身も2012年にシリコングラフィックスのCEOからの転職組。欧米のソフトウエア企業の例に漏れず、オープンテキストも数多く買収を重ねてきた。今回、日本市場ではオープンテキスト株式会社と配下のFAX配信&メッセージサービスのエクスパダイト株式会社のオフィスを統合。早川氏は双方の代表取締役社長に就任し、丸の内の新オフィスで大きなシナジーを目指す。

 製品に関しては、「InfoFusion」と呼ばれるエンタープライズサーチについてダイヤグラムを書きながら解説した。

InfoFusionの概念図

InfoFusionの概念図

 「5つの大きな製品ラインの中でもエンタープライズサーチについて説明しよう。InfoFusionは企業内の様々なレポジトリー(電子メール、文書管理、ERP、SharePointサーバなど)に接続してコンテンツを検索できる。GoogleやMicrosoftの製品はデータやコンテンツを自社の技術に引きこもうとするが、我々の製品はそれぞれの製品へのコネクターを使うことによって、セキュリティを保持しながらデータにアクセスする。バージョン1は既に出荷されており、いまバージョン2を準備している。11月にフロリダのオーランドで開かれるEnterprise World 2013ではデモできるだろう」と述べた。

 ビッグデータがもてはやされる今、電子メールや文書管理など既に存在する非構造化データに注目して、管理ソリューションを提供するオープンテキスト。競合はIBMと明言し、売上は3倍と攻めの戦略に出る日本法人の今後に注目だ。

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