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社長就任から1年半、IBMの変革とビジネスにおけるIT活用の課題を語る

日本IBM社長「日本企業は“デジタルと実世界の統合”に課題」

2013年10月11日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは10月7日、都内で事業戦略説明会を開催した。日本IBMの代表取締役社長であるマーティン・イェッター(Martin Jetter)氏は、2012年5月の社長就任から推進してきた同社変革の取り組みと、日本企業のビジネスにおけるIT活用の課題などを語った。

日本IBM 代表取締役社長のマーティン・イェッター氏

人材教育はグローバルに先駆けて変革

 イェッター氏は、日本IBMでは昨年の戦略説明会でも宣言したとおり、この2年間で「組織」「コンテンツ」「人財」という3つの点で変革を推進してきたことを説明した。組織については「顧客の近くにあること」を目指し、全国に4つの支社を新設して国内のカバレッジを強化してきたと述べた。

イェッター氏は、日本IBMではこの2年間「組織、コンテンツ、人財」の3点で変革を進めてきたと説明した

 2つめの“コンテンツ”とは、IBMが提供する製品やサービス、ソリューションを指す。イェッター氏は、マーケットの動向変化に対応して、特にクラウドコンピューティング、ビッグデータ活用/分析、「PureSystems」などのインテグレーテッドシステム、そして「System z」などハイエンドシステムの領域に注力してきたことを説明した。

 “人財”についてイェッター氏は、「日本IBMにおける人材研修のやり方を完全に変えた」と述べる。具体的には、モバイルデバイスを活用した人材教育システムを採用し、「出張先、自宅などどこからでも必要な情報を入手できるようにした」(同氏)。さらに営業職1500名を対象とした「Smarter Selling Academy」を、さらに今年は4000名の従業員を対象とした人材教育イベントを行っている。「グローバルのIBMに先駆け、日本IBMから(人材教育の)イノベーションを起こした。この教育システムを海外のIBMに“輸出”していく」(同氏)。

企業は将来の成長のため「テクノロジー」に期待

 続いてイェッター氏は、CxO(CEO、CFO、CIO、CMOなどの役員職)を対象とした意識調査「IBM Global C-suite Study」の結果から得られる、ビジネスの成長とITの関係について触れた。この調査は毎年IBMがグローバルで行っているもので、今年は70カ国以上、20業種以上の4183名(うち日本は631名)から回答を得ている。

 イェッター氏は、現在の企業はビジネス戦略を遂行するためだけでなく、新しいビジネスの可能性を創出するうえでも「テクノロジー」を重要視していることを指摘した。調査では「自社の将来に影響をよぼす最も重要な外部要因」という問いに対し、「市場の変化」や「マクロ経済要因」という回答を押さえて「テクノロジー」を挙げたCEOが最多となっている。

企業役員(CxO)に対するIBMの調査より。企業の変革を加速させる外部要因として「テクノロジー」が重視されている

 「昨年に引き続き、CEOたちは企業の変革を加速させる最高の原動力は『テクノロジー』であると考えている。その他のCxOもトップ3以内に『テクノロジー』を挙げている」(イェッター氏)

ビジネスの成長に必要となる3つのファクター

 同調査では、企業がこれから成功を勝ち取るために必要なファクターとして「顧客の影響力を受け入れ、経営に生かすこと」「『デジタルと実世界の統合』というイノベーションの先駆者となること」「魅力ある顧客体験をデザインすること」の3つを挙げている。いずれも、すでに取り組んでいるとした企業の割合は、低業績企業よりも高業績企業のほうが大幅に高いという調査結果が出ている。

イェッター氏は、日本企業は顧客の声を重視しているものの、ITを活用した顧客とのマルチチャネルの関係構築は遅れていると指摘した

 イェッター氏は、世界平均と比較して日本企業では特に「顧客の影響力を受け入れること」を重視する意識が強いものの、その一方でITを活用しさまざまなチャネルを通じて顧客との関係を構築していく「デジタルと実世界の統合」の取り組みは遅れていると指摘。ITの導入により、漠然としたセグメントではなく“個々の”顧客に対応した関係構築を進める取り組みは、複雑で困難ではあるものの「絶対に必要になる」と強調した。

 「こうしたアクションを行うことは、日本企業にとって大きなステップとなる。IBMでは国内、グローバルを問わず、そうした顧客の取り組みを支援していく用意ができている」(イェッター氏)

SoftLayerは「妥協のない、選択肢のあるクラウド」

 同説明会には米国IBMから、グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)担当シニア・バイス・プレジデント(SVP)のエリック・クレメンティ(Erich Clementi)氏、ミドルウェア・ソフトウェア担当SVPのロバート・ルブラン(Robert LeBlanc)氏、エンタプライズ・トランスフォーメーション担当SVPのリンダ・S・サンフォード(Linda S. Sanford)氏も出席し、それぞれの担当領域における事業戦略を説明した。

 そのうちGTS担当SVPのクレメンティ氏は、IBMのクラウドポートフォリオと、今年7月に買収を完了したホスティング/クラウドサービスプロバイダーのSoftLayerの関係について触れた。買収に際して、IBMでは既存のIBM SmarterCloudとSoftLayerとをグローバルなプラットフォームとして統合するとしている。

 クレメンティ氏は、SoftLayerは140カ国、2万1000社の顧客企業を抱えており、強力なネットワークアーキテクチャ、高度なオートメーション/オーケストレーションといった仕組みを通じて、IaaSにおいて「スマートなインフラストラクチャを提供している」と説明した。「妥協のないクラウドであり、同時に選択肢のあるクラウドだ」(同氏)。

クレメンティ氏は、SoftLayerがパフォーマンスだけでなく柔軟性や効率性でも優れていると強調した

 なお日本IBMでは10月2日、データホテルが提供するゲーム/スマートフォンアプリ事業者向けマネージドホスティングサービス「DATAHOTEL for App.」の海外サービス基盤としてSoftLayerサービスを採用したことを発表している。データホテルでは米国、シンガポールなど4カ国でSoftLayerの基盤を利用し、サービスを提供する。

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