山市良の「企業ユーザーはここに注目しよう!Windows 8.1の新機能」 最終回
Enterpriseエディション限定機能、8.1ではWindowsストアの使用制限も解除
Windows 8.1を持ち歩く「Windows To Go」の活用と注意点
2013年10月10日 08時00分更新
ライセンスはちょっと複雑、Windowsストアの使用制限は8.1で解除
Windows To Goは、簡単に言えばWindows 8 EnterpriseおよびWindows 8.1 Enterpriseののユーザーに、業務関連の目的での使用が許可された機能である。ただし、より厳密なライセンス条件は少々難解なものとなっている。詳しくは、最新のマイクロソフト製品使用権説明書(http://www.microsoft.com/ja-jp/licensing/about-licensing/product-licensing.aspx)を参照してほしいが、業務関連の目的以外の条件を以下にまとめてみた。なおこれはPreview段階での条件であり、正式リリースで変更になる可能性がある。
- Windowsソフトウェアアシュアランス(SA)またはWindows Virtual Desktop Access(VDA)サブスクリプションがライセンスされたデバイスは、Windows To Goワークスペースで起動できる。
- Windows SAまたはWindows VDAがライセンスされたデバイスの主要ユーザー(任意の90日で50%以上、そのデバイスを使用するユーザー)は、外部ローミング使用権を使用して、社外のデバイスをWindows To Goワークスペースで起動できる。
- Windows Companion Subscription License(Windows CSL)を購入することで、最大4台までのコンパニオンデバイス(個人のPCやデバイス)をWindows To Goワークスペースで起動して、主要デバイスと同時に使用することができる。
Windows VDAライセンスは、Windows SAを付与できないデバイス(Windowsのコンシューマー向けエディションや、専用OSを実行するシンクライアントなど)に対して、VDI環境へのWindows 8 Enterpriseのインストールと実行、リモートアクセス、外部ローミング使用権を付与するものである。Windows SAは、Windows VDAの内容を包含する。
個人のBYODデバイスや自宅のPC、第三者のPCは、外部ローミング使用権に基づいて、Windows To Goワークスペースで起動することが可能だ。ただし、主要デバイスのWindows(ライセンスが付与されたローカルのWindowsまたはWindows To Goワークスペース)と個人デバイスのWindows To Goワークスペースを同時に使用することはできない(外部ローミング使用権の範囲外となる)。主要デバイスと同時に、個人のデバイスをWindows To Goワークスペースで起動して同時に利用したい場合は、別途Windows CSLが必要になる。
最後に、Windows To GoワークスペースにおけるWindowsストアの扱いの変更点についても触れておこう。
Windows 8のWindowsストアでは、購入(または無償ダウンロード)したアプリを1つのMicrosoftアカウントあたり最大5台までのデバイスにインストールして使用することが許可されていた。Microsoftアカウントにライセンスされたアプリは、ハードウェアにリンクされ、台数が管理されている。しかし、複数のハードウェアをローミングするように設計されているWindows To Goワークスペースには、この仕組みはなじまない。そのため、Windows 8 EnterpriseのWindows To Goワークスペースでは、Windowsストアが既定で無効化されていた。そして、Windows To Goワークスペースを特定のデバイスで限定的に使用する場合にかぎり、ポリシー設定で有効化できるようになっている。
新しいWindows 8.1 EnterpriseのWindows To Goワークスペースでは、このWindowsストア使用制限が撤廃されており、既定の状態でWindowsストアを起動し、アプリをインストールすることができる。この仕様変更には、Windows 8.1におけるWindowsストアの使用条件の変更が大きく関わっているようである。Windows 8.1 PreviewにおけるWindowsストアの使用条件(Windows Store Terms of Use http://windows.microsoft.com/en-us/windows/windows-store-terms-of-use)を確認すると、従来の「最大5台のWindows 8対応デバイス(up to 5 Windows 8 enabled devices)」という条件が「最大81台のWindows対応個人デバイス(up to 81 personal Windows enabled devices)」と緩和されている※。
※ただしこの新しい使用条件や81台という数字は、Windows 8.1 Previewに適用されるものであり、正式リリース以後は変更になる可能性がある点にはご注意いただきたい。
筆者紹介:山市良(山内和朗)
Windows Server系の書籍、記事、技術文書を得意とするITテクニカルライター。2008年からMicrosoft MVP for Virtual Machineを受賞(Oct 2008 - Sep 2013)。主な著書に「Windows Server 2012テクノロジ入門」(日経BP社、2012年)、「Windows Server仮想化テクノロジ入門」(日経BP社、2011年)、「Windows Server 2008 R2テクノロジ入門」(日経BP社、2009年)。ブログ http://yamanxworld.blogspot.jp/
この連載の記事
-
第5回
ソフトウェア・仮想化
企業内リソースへの自動リモート接続機能「DirectAccess」 -
第4回
ソフトウェア・仮想化
面倒な操作をなくす!Windows 8.1「自動VPN接続」を使う -
第3回
ソフトウェア・仮想化
Windows 8.1の新しいファイル同期機能「作業フォルダー」 -
第2回
ソフトウェア・仮想化
Win 8.1のBYOD機能「社内参加(Workplace Join)」を使う -
第1回
ソフトウェア・仮想化
Windows 8.1で「クライアントHyper-V」はこう改善された -
ソフトウェア・仮想化
山市良の「企業ユーザーはここに注目しよう!Windows 8.1の新機能」 - この連載の一覧へ