アメリカでも下取りサービスを開始
iPhone 4S 16GBホワイト(傷だらけ)は67ドル
今回の購入の流れの中で、以前と違っていた点は下取りサービスが開始された点です。日本でもそれまで使っていたiPhoneを引き取るサービスが用意されていますが、米国ではApple Storeでも同様のサービスを行なっています。ちなみに英語では「Trade-in」という言葉を使います。
もともと米国では、Gazelle(http://www.gazelle.com/iphone/)がiPhoneなどの下取りサービスとして、有名でした。しかし今年に入ると、各携帯電話会社やAmazonが中古の下取りと販売を行うようになりました。また、筆者がiPhoneを契約しているVerizon WirelessでもTrade-In Programが用意されています。
価格はほとんど似たようなものですが、SIMロックフリーではない、多少の傷があるiPhone 4S 16GBの場合、Gazelleは160ドル、Amazonは171ドル、Verizonは200ドルという最高提示額でした。ここから、傷の具合や箱・付属品の有無で値段が引かれていくことになります。Verizonが高いのは機種変更に利用できるギフトカードでの支払いだからでしょう。
さて、Apple Storeでも下取りサービスが行われています。オンラインでも同様の最高額の査定をしてみたところ、135ドルと他の下取りサービスよりも低い価格でした。少し悩みましたが、店頭でどのような手続きが行われるのかを見たかったので、iPhone 5sを購入する際にiPhone 4sの下取りもお願いして見ました。
他のサービスでも同様ですが、まずiPhoneを起動するかを確認した上で、iCloudの「iPhoneを探す」機能をオフにし、iCloudからログアウトした状態で初期化するよう求められました。iOS 7にはアクティベーション・ロックの機能が搭載されたことから、中古で取引される際にロックがかかったままだと困る、ということでしょう。
査定の価格は67ドル。他の下取りサービスの価格に比べるとかなり低い金額と言えます。おそらく同じ携帯電話会社を使い続ける前提なら、その会社の下取りを使った方が最もお得なのではないか、と思います。この金額は現金ではなく、Apple Storeで利用できるギフトカードの形で渡されます。もちろん、その場で新しいiPhoneの購入に充てることになりますが。
携帯電話会社の課題はシンプルさと自由度と収益性
そもそもわかりやすく提供すれば効率がいいのでは?
前回のiPhone 5への機種変更の際は、Verizon Wirelessのウェブサイトで予約し、発売日に自宅に届くという方法でしたが、今回はiPhone 5sの予約が行なわれなかったため、店頭で並んで手続きを済ませました。こちらでは日本ほど携帯電話ショップが身近にないこともあって、機種変更や新規購入の仕組みは自宅で自分でアクティベートすることを前提に作られています。そのため、店頭でやったとしてもとても簡単に済ませることができるのだと思います。
iPhone 5からは特に手続きをしなくても、GSMロックフリーだったため、日本のドコモかソフトバンクのSIMカードを差し込むと、そのまま利用する事ができる仕組みになっていました。2年縛りだからSIMロックをかけるというロジックは、iPhoneに関してはほどけつつあります。
その代わり、2年以内に機種変更する場合は割引が得られず、同じく2年以内に解約する場合は割り引いた金額がチャージされることになります。このあたりのルールも、1行で説明できるほどシンプルで日本の複雑な契約形態とは違います。
日本でも「ショップ店頭で説明をする」ではなく、そもそもわかりやすくシンプルにしておくという努力が必要ではないかと思います。結果的に契約などの時間短縮になり、店頭での負担の軽減や効率化にもつながります。「携帯電話をユーザーに届ける」という広い視野でのサービス作りが必要ではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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