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CEATECで発見、“指先でも筆圧”のタッチパネルが素敵!

2013年10月05日 09時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax

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フジクラの筆圧対応静電容量式タッチパネルは、指先でも筆圧に対応だ

 CEATECをフラフラ見て回って、面白そうなものを紹介する作戦第2回目は、フジクラの筆圧対応静電容量式タッチパネルだ。実物を触ると納得できるだけでなく、単純にスゲー! これだよこれー! となること請け合いだ。報道ベースだと、「ライフ&ソサエティステージ」という展示スペースが中心で、4Kディスプレーや8K映像などのゾーンに目が行ってしまうのだが、男の子魂を刺激してくれるのが「キーテクノロジーステージ」だ。簡単にいえば、部材がたくさん並ぶ場所だが、魅力的なものが多い。ここではその中でも、フジクラの筆圧対応静電容量式タッチパネルを紹介しよう。

タッチパネルと筆圧のおさらい

 スマホやタブレットに限らず、ノートPCやデスクトップでも採用が進んでいるタッチパネル。その多くは静電容量式を採用しており、かつては多数あった感圧式(抵抗膜方式)は中国製タブレットの一部で採用される程度になっている。静電容量式で筆圧を可能としているのは、デジタイザーペン(電磁誘導方式)とアノト式がある。また電磁誘導方式はペンを必要とするが、タッチパネルにも属しているし、ノートPCやタブレットで採用例が増え始めた筆圧対応は、静電容量方式+電磁誘導式のハイブリッドだ。大雑把な説明になってしまったが、以上が最近のタッチパネルの主なストリームになる。

電磁誘導方式に頼らないフジクラのタッチパネル

 では、フジクラの筆圧検知タッチパネルを見てみよう。方式は静電容量式だが、タッチパネル周囲に圧力センサーを追加して、静電容量方式のみの状態で筆圧に対応している。物理的な問題から圧力センサーを入れる場所が制限されてしまっており、単純に考えた場合、タッチパネルの中央付近は感度が鈍いのでは? と思ってしまうが、ポインティングは静電容量方式のみで、別途圧力センサーが得た情報を送信することで、均一な感度を実現している。

フジクラの筆圧検知タッチパネルの仕組みは、図で解説されていた。構造はとてもシンプル

 この筆圧検知タッチパネルは、コストを抑えることが可能らしく、低価格で筆圧を再現できるうえ、割高になりやすい大型ディスプレーの場合も効果的だという。現状、大型ディスプレーで筆圧を搭載したものはほとんどないため、試作状態ながらさまざまなプランが浮かんでいるとのことだ。

操作感は静電容量式と変わらない。また試作機は圧力センサーの小型化がまだなのか、けっこう分厚かった

 専用ペンが不要な点も魅力で、極端にいえばボールペンや指先でもよく、幼児向けの知育アイテムとしても面白そうだ。シンプルな仕組みながら、指先で筆圧が再現されている様子はとても面白かったし、新しいアプローチとして魅力を感じた。一緒にチェックしていた颯田直斗先生の言葉を借りれば、「状況に応じて抵抗値の異なるペンが使える!」というメリットがアッサリと生まれる。

試作機をチェックをしてみた

 開発者に聞いてみたところ、試作機の筆圧は256段階くらいとのこと。高い筆圧を再現するためには、構造上圧力センサーの改良がまだまだ必要なのだろう。また、手の形を検知できない状態だったため、筆記用具を持って紙に文字を書くように、どかっと手のひらをタッチパネルに乗せた場合は、その部分も反応してしまう。この部分は静電容量方式側で制御可能なので、次にお目にかかるときには解消されていそうだ。

 試作機に用意されていたアプリケーションは、セルシスのイラスト/マンガ制作ソフト「CLIP STUDIO EX/PRO」。手の形状チェックがない状態なので、デジタイザーペンでの操作のようにはいかなかったが、筆圧の再現具合は良好だった。ホバー性能についても、この点はパネル側とチューニングに依存するため、あまり心配はいらないだろう。このとき、颯田直斗先生が手にしていたのは、試作機とセットで置かれていたペン。量販店で手に入るタッチパネル用のスタイラス。追従性や微妙な線のブレはあったものの、遊べる印象だった。筆者は指での筆圧をチェック。指からインクが出てるような感覚だったが、ともあれ魅力的に見えるばかりだった。

テストの様子

試作機としてみると、レスポンスは良好。まだまだ伸びしろがあるとのこと

颯田直斗先生を見守っていたところ、画面に手をのせられない点以外はけっこう気に入っていた様子。手の形状チェック対応版が楽しみだ

使用していたペンは、試作機と一緒に置かれていた一般的なもの

電子書籍ビューワーに最適のパネル?

 颯田直斗先生とふたりで興奮しながら触っていたところ、開発者さんがおもむろにアプリケーションを切り替えてくれた。電子書籍に見立てたビューワーとのことで、フリックではなく、筆圧を使ってほしいという。それに従ってみたところ、筆圧の強さによってページがめくられる速度が変化した。つまり、アナログの本のページをパララとめくるアクションを簡単に再現できるわけだ。

 現状の電子書籍でページ移動を行なう方法は、指ではじくフリック操作か、指定ページの入力、スライダーの3種類くらいで、フリック以外ではページ内容をチラ見しながら……といったページ移動はできない。

 一方、フジクラの筆圧検知タッチパネルは、「あのシーンはどこだっけ?」といったときに、フリックだけなく指で押した際の力加減による操作も可能で、これが重要な利用体験を生み出してくれる。“なんとなくの記憶”との結び付きが起きやすく、検索性においてこの点はすごく大切なのだ。というわけで、どこかのメーカーがフジクラの筆圧検知タッチパネルを採用した電子書籍ビューワーを出してくれること願うばかりだ。

一般的な電子書籍ビューワーのように、フリックでページを進めることも可能。さらには、指で押した際の力の強弱でもページを進められる

筆圧に応じてページめくりの速度が変化するところを録画してみた。画面上部にある数値はページ数ではなく、ページめくりの速度を示す。筆圧に応じて数値が大きくなり、それに伴ってページめくりの速度が変化しているのが分かるのだ

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