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物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

スター・ウォーズや村上春樹の作品が秘めた共通の法則

2013年10月26日 00時00分更新

文● 第7編集部 第2書籍課

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「スター・ウォーズ」「マトリックス」「ロード・オブ・ザ・リング」…いずれも映画史に残る大ヒット作ですが、これらの作品がすべて、同じ“理論”を踏襲して創られているって、ご存じでした?

法則を守るだけで物語の印象が強くなり、感動的になる

 その理論とは、ジョーゼフ・キャンベルという神話学の第一人者が提唱し、英語圏などでは物語創作者がみな「創作の基礎」として押さえている〈ヒーローズ・ジャーニー理論〉です(日本の創作界では、プロの世界でも――村上春樹氏や中上健二氏、宮崎駿氏などは例外として――この「基礎」が押さえられていないケースが多い、という批判も一部にあります)。

  この理論は、世界中の多くの神話に通底する、下記のような要素を洗い出したもので、ぶっちゃけて言うと、こうした展開/ステージを踏まえると、映画や小説などのあらゆる物語の印象が強くなる、感動的になる、人の心に残るようになる、物語の印象が壮大になる、というわけです。

  1. ヒーローが日常の世界にいるところが紹介される
  2. 冒険への誘いが来る
  3. ヒーローは最初は乗り気ではない(冒険の拒否)
  4. ヒーローは賢者に勇気づけられる(賢者との出会い)
  5. ヒーローが自分の世界の戸口を出ていく(戸口の通過)
  6. ヒーローが試練や支援者に出会う(試練、仲間、敵)
  7. ヒーローが深い洞穴にやってくる(最も危険な場所への接近)
  8. ヒーローが剣を手にする(報酬)
  9. 帰路につく
  10. 復活する
  11. 宝物を持って帰還を果たす

 いっぽうで、「こうした展開を踏まえると、物語が紋切り型になる」という批判も確かにあります。しかし、世界中で言い伝えられてきた「神話」の数々から連綿と続く、こうした「強い印象を残す」物語の枠組みは、そう簡単には、すたれません。

 そしてこうした展開をいかに新鮮に見せるか、物語の中に「隠す」かが、現代における創作者の腕の見せ所ともなっています。そういう意味では、いまだに古びていない創作手法であると同時に、まだまだツカエる映画・小説の鑑賞法/批評法たりえているわけです。

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