iTunesのデータ読み込み、画面の表示設定の変更はアプリならでは
KB SCALEでは画面下部のキーボードの音階を設定。各種モードやブルーススケールに民族音階(琉球音階もあります)、長/短3度音階や5度音などをきちんと押さえています。ただ、“メジャースケール”の設定はないので、イオニアンスケール(=IONIAN)を選択するか、クロマチックスケール(=CHROMATIC)で不要な音を除外し、LOCKをかけてやる必要があるかと。また画面下部右端のVOL、COR、GLIDEではキーボードの音量、音の立ち上がりと音程の安定感、音と音の繋がりの早さなどが調整可能です。
4TRACKは 音声データを4つまで同時に鳴らせる簡易レコーダーです。iPad内のiTunesから音声データの読み込み、他のアプリからAudio Pasteを用いて音声データを貼りつけなどができます。ミキサー機能は各チャンネルにボリュームフェーダーとパンポット、ミュートとソロスイッチ、ループのオンオフとレコーディング待機という基本を押さえたシンプルな構成です。
パン(定位)はボリュームフェーダーをダブルタップし、拡大されたボリュームフェーダー横のパンポットで調整。MIDIデータの編集はできないので、込み入ったアレンジは難しいです。ただ、ある一定のコード進行やノイズをバックに、リアルタイム演奏を重ねるときなどには、それなりに使えると思います。
SET UPはMIDIやプリセットデータの管理、オーディオの再生や画面の表示設定です。DISPLAYのMOD STRIPSで、画面下のキーボードのデザインを2種類から選択でき、OSCILLOSCOPEはX/Y PADに表示される波形のオンオフ切り替えができます。
個人的には画面上でもPITCHホイールやMODホイールを操作したいので、MOD STRIPSをオンに。OSCILLOSCOPEも視覚的に楽しいのでオンにしています。 また、マニュアル(英語)の参照もここからとなります。
STOREではアドオンの音色パッケージや、4TRACKやMIDIについての機能追加ができます。プリセットでも、すぐには把握しきれないほど多彩な音色があり、組み合わせも膨大ですが、サウンドやフィルターエフェクトをさらにに追加できるのはうれしいですね。アドオンの説明を見るだけでも、かなりマニアックなサウンドが詰まっているのがわかります。
機能を把握した上で、「目分量」で音色を調節するのがベター
Animoogではひとつのコントロールツマミをいじるだけでも驚くほど音色を変えることができます。さらに、音色が組み合わさって起こる変化は無限の可能性を秘めています。この可能性を活かすためには、ひとつひとつの機能をきちんと把握し、また流動的なイメージをうまく捉える力が必要かもしれません。
画面上のツマミに目盛りは振られていますが、数値で表示されない項目もあるので、そのあたりの調整は音色を聴いた上で、またレスポンスに対しての目分量で決めてほしいところ。
ある種玄人向けですが、なんとなく適当に動かしていくだけで楽しめるX/Y PADやPATH、ORBIT、THICKなどの機能もあるので、初心者でも楽しみながら使えるのではと思います。
これほど高性能なヴァーチャルアナログシンセアプリはなかなかないでしょう。さすがのMoog本家によるアプリ。安定と革新の素晴らしい融合、完璧な仕上がりたと言えます。
藤村 亮(ふじむら りょう)
1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。2013年4月にロックバンド"流天"を結成し、作詞作曲を担当する。2013年11月には2年半ぶりのヨーロッパツアーが決定している。
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